すでに新型発表(8月末)がアナウンスされているというのに、売れまくっているホンダN-BOX。
なぜそんなに売れているのか? どこがそんなにいいのか?
その長所と秘密、ライバルと比べた性能、もうすぐデビューする新型に期待することなどをキッチリ考察しました。
文:渡辺陽一郎
■現代の「人気車の条件」とは、実用的なサプライズ??
最近は軽自動車の販売が好調で、特に売れ行きの多い車種がN-BOXだ。
2011年12月に初代が発売され、軽自動車市場での販売順位は2012年が2位(1位はミライース+ミラココア+ミラ)、2013年は1位、2014年は2位(1位はタント)、2015年と2016年は1位になった(N-BOXスラッシュとプラスを含む)。
しかも直近の2017年上半期(1〜6月)は、軽自動車だけでなく、小型/普通車を含めた国内販売全体でも1位を獲得した。
実に10万6231台を販売して、プリウスやノートを上まわる。軽自動車市場では2位のタントに2万5000台以上の差を付けた。
しかも対前年比は110.7%だから、昨年の同期に比べて売れ行きを10%以上も伸ばした。
N-BOXは発売から5年半以上を経過して、2017年8月31日には次期型にフルモデルチェンジされる。
5月25日にはホンダのホームページで次期型の写真が公開され、モデル末期であることは明らかだが、売れ行きが伸びた。
好調に売れる理由の筆頭は、N-BOXが今日の人気車の条件とされる「実用的なサプライズ」を備えることだ。
全高は1780mmと高く、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は前輪駆動の軽自動車では最長の2520mm(後輪駆動のi-MiEVは2550mm)。
そのために車内は軽乗用車で最も広く、初めて乗った人は誰でも驚く。後席の頭上と足元の空間はLサイズセダンを上まわり、4名で乗車しても快適だ。
しかも燃料タンクを前席の下に搭載したから、後席を畳むと床が平らな大容量の荷室になる。自転車などの大きな荷物も積みやすい。
後席のドアはスライド式で、開口幅は640mmに達する。ピラー(柱)をドアに埋めこんだタントの左側を除くと、軽乗用車では最もワイドに開く。乗降性も優れている。
外観はミニバン風で存在感が強く、さらに見栄えのいいカスタムも設定したから、上級車種からの乗り替え(ダウンサイジング)にも適する。
ちなみに最近は、同じホンダのフィットやステップワゴンの売れ行きが伸び悩む。この理由として、ホンダの小型/普通車からN-BOXに乗り換えるユーザーが増えたことも挙げられる。
そして好調に売れ続けた結果、今ではN-BOXを街中で頻繁に見かける。実用重視の車種では、数多く売れた実績が信頼性と魅力を高めるから、N-BOXは保有台数の増加に伴って売れ行きが一層加速した。
このほかN-BOXでは、販売会社が在庫を持ち切れず、自社で届け出を行った未使用中古車が多い(走行距離は大半が50km以下)。こういった裏側の事情も含めて、N-BOXは販売台数を増やしている。
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