3月19日にスズキが4年ぶりに国内仕様の2021年型ハヤブサを正式発表した。ハヤブサはスズキのフラッグシップモデルだったが、国内仕様は2017年型で生産終了。それがこの4月7日から日本のユーザーに新車販売が再開されることになったのだ。
一方で、「世界最速のバイク」という称号がウリだったハヤブサは、欧州などで最高出力を従来型の197psから190psに7psダウン。そして、今回新たに発表された国内仕様の最高出力は188psと発表され、9psのダウンが確定した。ここではその理由とともに新型の概要も解説したい。
文/市本行平(Webike)、写真/SUZUKI、KAWASAKI
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ターボや6気筒エンジンも検討されていた新型ハヤブサは最終的に正常進化ヘ
まず、ピークパワーの低下は決してネガティブな話ではない。新型ハヤブサが従来の197psから188psになったところで、その違いが分かるライダーはごく一部のプロのみ。もちろん公道走行ではプロでも気にならないレベルの出力ダウンと言えるだろう。ただし、新型ハヤブサを開発し、リリースするスズキにとっては一つの決断だったということは想像に難くない。
ハヤブサは1999年にデビューし、実速度で300km/hを超えた最初の公道走行可能な市販車だった。速さ=パワーというのはライダーの頭の中にある図式で、1psのカタログスペックに一喜一憂するのはバイク好きの性とも言える。特にハイパフォーマンスモデルを好む層にとってはパワーは価値にも直結するのだ。
なので「パワーを落とすとユーザーが離れるのではないか?」とスズキの開発者は悩んだに違いない。スズキグローバルの公式YouTubeチャンネルにある新型ハヤブサの開発者インタビューでは、ターボ付きや排気量アップ版、6気筒エンジンまで検討されたというから、当初はパワーも重視していたのは間違いない。
しかし最終的に新型ハヤブサは、従来型のエンジンをベースとした正常進化を果たした。排気量も維持されたことから、ユーロ5及び国内の令和2年排出ガス規制に対応するために出力を落とさざるを得なかったはずだ。それでも、10年以上に渡り次期ハヤブサ像を模索し続けた開発陣がこのような方針を採ったのには、理由があるのだ。
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