ベントレー、ランボルギーニ、アストンマーチンと、超高級メーカーが続々とSUVを発表するなか、ついに「ど本命」が名乗りをあげた。英国の最高級メーカー、ロールス・ロイスが用意する「カリナン」だ。
もちろんこれがロールス・ロイス史上初めてのSUVとなる。
その存在は3年前から公式に「開発中」と公表されていたが、その完全な姿が正式にお披露目されたのは2018年5月10日、つまり本日が世界初。本国イギリス・グッドウッドにて発表された。
残念ながら日本販売価格はいまだに未公表。当サイトの予想では4000万〜5000万円といったと見る。
当サイトでは、一足早く先行公開で実物を中国・北京にて実際に見てきた(『ベストカー』出身の)自動車ライター塩見智氏に、レポート&特別動画をお願いした。
文:塩見智
■車名の元ネタは「ダイヤモンド」
とうとうこの日がやってきた。
どこもかしこもSUVをラインアップする時代だが、フェラーリと並んで最もSUVと縁遠いと思われていたロールス・ロイスが5月10日、ブランド初のSUV「カリナン」を発表した。発表に先駆けて中国・北京某所でメディアを対象に開かれたプレビューに参加した。
北京市内にある某博物館の地下室で実施されたプレビューでは、リチャード・カーターPRディレクターの「走破する場所を選ばない妥協なきSUVの誕生です」との掛け声とともにマグマレッド(赤)とダーケストタングステン(ガンメタ)の2台のカリナンがアンヴェールされ、小山のように大きなSUV2台が姿を現した。
カリナンとは1905年に発見された世界最大のダイアモンドの原石の名前からきている。
巨大なパンテオングリルが中央に直立し、その両脇に全体のサイズを考えると控えめなヘッドランプユニットが配置されるフロントマスクは、昨年モデルチェンジした同社のフラッグシップサルーン「ファントム」と非常によく似ている。
SUVとなってもリアドアはコーチドアだ。純粋な2ボックススタイルではなく、リア部分がやや突き出ているのが外観上の特徴。
ロールス・ロイスは「3ボックスSUV」と呼ぶ。このスタイルは1930年代のシルバーゴーストあたりが旅行用トランクをリアに固定していたことからヒントを得ているのだという。
■「必要とあらばいつでもEV化できる」
カリナンはファントムと同じアルミスペースフレームの車台「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を用いて開発された。全長5341mm×全幅2164mm×全高1835mm、ホイールベース3295mmと、標準ホイールベースのファントムに比べ400mm以上短く、100mm以上幅広く、190mm高い。現在市販されているSUVで最も大きな部類に入るベントレー・ベンテイガと比べてもひとまわり大きい。
ちなみにゴースト、レイス、ドーンといった他のロールス・ロイスも今後この車台を用いてモデルチェンジすることになっている。
この車台は将来のEV開発も視野に入れて開発されており、ロールスは「必要とあらばいつでもEV化することができるが、我々のカスタマーからさほど要望がない」と主張する。また電動化同様に世間の注目が高い自動化について質すと、毎回「研究はしているものの、我々のカスタマーは運転手を雇うかたちで100年以上前から自動運転を実現している」という答えが返ってくる。
搭載されるエンジンはファントムと同じ6.75LのV12ツインターボ。
最高出力571ps/5000rpm、最大トルク850Nm/1600rpmと、最高出力はファントムと同一、最大トルクは50Nm小さい。
同社として初めて4WDを採用した。電子制御4WDで、機械的なセンターデフロックはない。後輪操舵システムも備える。ラグジュアリーSUVによくある路面状況に応じて選択可能な走行モードの類いは存在しない。センターコンソールに「オフロード」と書かれたボタンがひとつあり、押せば路面状況に最適化されたセッティングになるという。
もっともオン/オフを問わず、ステアリングの入力、車体の傾き、各輪の加速度、フロントステレオカメラが捉えた路面状況などを考慮し、常に毎秒数百万回の演算によって電子制御エアサスが制御されている。
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