■「最高の代名詞」としてロールスが君臨し続けるために
リアシートがラウンジ型の5人乗り仕様と独立型の4人乗り仕様があり、4人乗り仕様はリアハッチを開けても車内の温度を保つためにラゲッジスペースとキャビンがガラスのパーティションで仕切られているほか、ボタン操作によってラゲッジスペースから後ろ向きのレザーシート2座とカクテルテーブルがせり出す「ビューイングスイート」を備えることができる。
これまでロールス・ロイスにSUVがなかったため、同じ英国の高級SUVであるレンジローバーが「砂漠のロールス・ロイス」と呼ばれてきた。が、カリナン登場によって砂漠のロールスもロールス・ロイスということになった。2014年に正式に開発がスタートしたカリナン。企画が持ち上がった当初は妥協の産物となってしまうのではないかと社内にも反対の意見が少なくなかったというが、徐々にジャンルがどうあれ、それがロールス・ロイス(としてふさわしいモノ)ならばOKという声に変わっていった。
ロールス・ロイスの工場の生産能力は年間約4000台。ここのところは現在の注文に対応するだけで精いっぱいのはずだ。にもかかわらず、彼らがなぜブランド価値が薄まるリスクを犯してまで新ジャンルのSUVに挑戦するのか、はっきりとはわからない。
将来にわたって「お菓子のロールス・ロイス」「バッグのロールス・ロイス」などと、つまり「最高」の代名詞として「ロールス・ロイス」の名が使われ続けるよう、あらゆる世代の人々に受け入れられやすいかたち、すなわち今ならSUVというジャンルで「最高」を示さなければならないという判断なのかもしれない。
いずれにせよ早く乗ってみたい。日本発売予定は年内、価格は未定。
ロールス・ロイス カリナン主要諸元<欧州仕様>
全長5341mm×全幅2164mm×全高1835mm/ホイールベース3295mm/車両重量2660kg/エンジン=V型12気筒6.75Lツインターボ(最高出力571ps/5000rpm、最大トルク850Nm/1600rpm)/最高速250km/h(リミッターあり)/欧州複合燃費=15L/100km(6.67km/L)/ラゲッジ容量600L(4人乗り仕様は526L)/価格=未定
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