2018年7月10日、スバルの中村知美社長は会見を開き、2025年にグローバルで130万台の販売を目指す新中期経営ビジョン「STEP」を策定、発表した。6月22日の株主総会で、社長に昇格した中村知美氏が指揮する新体制の第一歩といえるこの会見で、何がわかったのか、自動車専門メディアらしく深掘りしていきたい。
文:ベストカーWeb編集部
■新中期経営ビジョン「STEP」発表
昨年10月に発覚した無資格検査問題、今年3月には排ガス、燃費データの改ざんを公表、さらに5月中旬には新たな改ざんが発覚し、吉永泰之社長は会長兼最高経営責任者(CEO)に就く人事案を撤回し、代表権のない会長に退く……という、一連の不祥事の後、新たなに策定された新中期経営ビジョン「STEP」。
中村新社長は会見で「自動車業界にとって大変革期であること。近年の当社の急成長に伴う歪みや課題が明確になってきた。一刻も早く真の実力を養成して信頼を取り戻す。お客さまに“安心と愉しさ”を提供するというブランドの方向軸は動かさない。単なるメーカーを超えてお客さまに共感され信頼していただける存在を目指す」と新中期経営計画に対する熱い思いを述べた。
■「スピード」「信頼」「共感」「安心と愉しさ」
新中期経営ビジョン名称「STEP」の意味は、同ビジョンで大切にしている4つの要素、「Speed(スピード)」「Trust(信頼)」「Engagement(共感)」「Peace of mind & enjoyment(安心と愉しさ)」の頭文字とし、来るべき「JUMP」に備えて着実に地力をつける期間という意味を込めたとし、この中で“2025年ビジョン”として、次の3項目を掲げている
1.「個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる」
2.「お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する」
3.「多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす」
ちなみに中村新社長の人となりについて。中村新社長は、吉永会長と同じ国内営業や経営企画を経て、北米販売会社のトップに就任。屋台骨となる北米からスバルの強みや弱みを見てきた。中村新社長の人となりについては、ベストカーでもインタビューをしていないが、筆者がスバル関係者や幹部にそれとなく聞いてみたことをまとめると、「北米のリテーラー(販売店)からの信頼が厚く、北米市場で成功した功績が大きいこと、コミュニケーション能力が高く、早くから将来の社長候補と言われていた」ということで、中村氏が社長になるのは自然な流れだったようだ。
■2025年までの新車投入計画は?
さて、本題の新車投入計画について迫ってみたい。中村社長は「主力車種のフルモデルチェンジを原則毎年実施し、市場投入していき、さらに個性の際立つSUV、スポーツ系の商品のラインアップとバリエーションの強化を図っていく。またデザインの方向性としてはスバルのアイデンティティであるダイナミック・ソリッドをより大胆なデザイン表現に進化させていきたいと」とコメント。会見では具体的な商品計画は明かさなかったが、プレゼンテーション資料を見ると、以前の新中期経営計画「際立とう2020」とは違うロードマップが描かれていた。
このロードマップは非常にざっくりとしたものだが、さらに深掘りして、これまで取材してわかった新車投入スケジュールを入れこみながら紹介していきたい。
■新車投入スケジュール予想(ベストカーweb独自調査)
2018年=現行WRX S4 STIスポーツ(9月)、XV e-BOXER(国内10月)、XV PHV(年内、北米のみ)
2019年=新型レガシィ&アウトバック
2020年=新型レヴォーグ
2021年=WRX STI&S4
2022年=新型BRZ&トヨタ86、トヨタとのアライアンスによる新型EVグローバル投入
2023年=グローバル戦略SUV、新HVを順次投入
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