■まるで宇宙船のようなコックピットデザイン
より驚きにあふれているのが、コックピット。メーターパネルの形状など一部現実的なものに置き換えられているが、その雰囲気は「Vision iNEXT」のままで、より豪華なものに仕上げられている。
細部を見ていくと、メーターパネルとインフォテイメントディスプレイを連結させたツインディスプレイ表示をはじめ、新しい操作機能を備えた異形デザインのステアリングやフローティング構造のシフトパネルなど、これまでのBMWとは異なる点が満載。操作系のボタンも、タッチスクリーンや新しいiDriveコントローラー、ステアリングスイッチなどにできるだけ集約されている。
機能面では、EVらしいユニークなものも取り入れられており、暖房効率を高めるべく、従来のエアコンによる暖房に加え、センターコンソールやドアトリム、ダッシュボード下部などの表面に内蔵されたヒーターで、車内全体を温める機構を標準化。
また、BMWの味のひとつであるエンジン音の代わりに、「アイコニック・サウンド・エレクトリック」という走行サウンド機能を採用。これは基本的に「無音」であるEVにおいて、音による効果で「駆けぬける歓び」を体感可能にする機能で、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ダークナイト』の楽曲を担当するなど世界的に活躍する映画音楽作曲家のハンス・ジマーが手がけたもの。
モード切替で、サウンドを強調することも、またOFFにすることもできるという。近年、EVは静かさだけでなく、走行サウンドにも力を入れているため、この点も興味深い。音楽で映画のワンシーンを盛り上げる映画音楽作曲家の協力を仰いだのは、エンジンサウンドでオーナーを楽しませてきたBMWらしい演出ともいえそうだ。
■AI活用の音声認識などの先進機能も強化
現在、飛躍的に進化と活用が広がる音声認識にも力を入れており、AIを活用した対話型音声操作システム「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」に加え、Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)にも対応。
この機能は、ユーザーのスマートフォン上のアプリ「My BMW」を使用してAlexaと連携。車内での天気予報やニュース、音楽配信機能などの利用はもちろんのこと。買い物までできるようになる。
先進の安全運転支援機能も強化され、「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」を標準搭載。高性能プロセッサーによる高い解析能力によって、より精度と正確性が向上させるだけでなく、日本で多発する踏み間違い事故を防ぐ、ペダル踏み間違い急発進抑制機能も備えているのも特徴となる。
■ロングドライブに対応するEVシステム
パワートレーンは、前後に各々駆動モーターを備えた4WD車となる。大容量のリチウムイオン電池をフロア下に内蔵する。パワーユニットの仕様は、「xDrive50」と「xDrive40」の2種類を設定。
上位モデルとなる「xDrive50」は、前輪用の最高出力190kW / 最大トルク365Nmと後輪用の最高出力230kW / 最大トルク400Nmの電気モーターを備え、システム・トータルでの最高出力は385kW、最大トルクは765Nmを発揮する。リチウムイオン電池容量は303Ahで、一充電走行距離は650km(WLTC)となる。
エントリーグレードとなる「xDrive40」は、前輪用の最高出力190kW / 最大トルク290Nmと、後輪用の最高出力200kW / 最大トルク340Nmの電気モーターを備え、システム・トータルでの最高出力は240kW、最大トルクは630Nmを発揮。リチウムイオン電池容量は232Ahで、一充電走行距離は450km(WLTC)となる。
EVで重視される充電機能は、最大150kWの急速充電器に対応しており、150kW出力のものを利用すれば、40分以内に約80%まで電池残量を回復し、約500kmの航続距離が確保。
もし10分間の短時間の急速充電でも、約100kmの航続距離を延ばすことができるというから便利だ。200Vの普通充電では、11kWの出力まで対応しており、11kWの出力のものならば、満充電までに約7時間で完了することができる。
メカニズム面では、大柄なボディの取り回しを向上させる前後輪統合制御ステアリングシステム「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」や乗り心地や最良な車高を保つ「4輪アダプティブ・エア・サスペンション」をxDrive50に標準化するなど、BMWらしい走りのよさもしっかりと追求されている。
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