2022年6月1日、TOYOTA GAZOO Racingは「GRカローラRZ」および、「GRカローラ モリゾウエディション」を世界初公開した。
GRカローラRZは、2022年4月に公開されたGRカローラの日本仕様のグレード。そして、「GRカローラ モリゾウエディション」はマスタードライバーである社長のモリゾウ氏自らが試作車のハンドルを握り、専用パーツを吟味して作り上げた特別仕様車であり、台数限定での発売になるという。
今回、実車が公開されたGRカローラRZ、そしてその特別仕様車「モリゾウエディション」の全貌をご紹介しよう。
文/吉川賢一、
写真/西尾タクト、TOYOTA GAZOO Racing
■「お客様を魅了する野性味」を与えた
GRカローラの開発は、マスタードライバーのモリゾウ氏を中心にプロドライバー、社内の評価ドライバー、エンジニア、メカニックが一丸となって、さまざまな道で走り込みを実施。
徹底的に不具合を出し尽くし、改善を重ねたことで、「ドライバーと対話のできるクルマ」、「ずっと走らせていたくなるスポーツカー」へと仕上げていったという。
具体的には、基本骨格であるカローラスポーツのボディから、フロントフェンダー、リアフェンダーともに片側約30mm拡幅。さらに、ロングホイールベースが生み出す高速安定性を受け継ぎながら、フロントを60mm、リアを85mmワイドトレッド化し、幅太のハイグリップタイヤ(235/40R18ヨコハマADVAN APEX V601)を装着、より高い旋回性能を実現している。
ちなみにトレッドの拡幅だが、C-HRなどのGA-Cワイドプラットフォーム用のサスアームを流用したことで、新規にパーツを起こさずに達成できたという(※カローラスポーツはGA-Cナロー)。前後のブリスターフェンダーが非常にマッシブで厳つさにあふれており、カローラと言う名を忘れてしまうほどのカッコよさだ。
フロントボンネットに2か所空いたエアダクトは、普段は埃やゴミの侵入を防ぐため、内側にプラスチックカバーを付けているが、スポーツ走行時にはカンタンに取り外せるので冷却性能を高めることもできる。フロントフェンダー後方に空いたホールはエンジンの熱の排出用、リアバンパーの2カ所のスリットは空気が車両後方に抜けるのを妨げるパラシュート効果を抑制するための穴だ。
レース参戦車両からのフィードバックも多いため、エアロダイナミクスは最新のテクノロジーの数々が盛り込まれている。そして何より、5ドア5人乗りの利便性をそのままにしているので、日常生活での使い勝手と走る楽しさを高次元で両立している。
4WDシステムは、GRヤリスにも搭載された「GR-FOUR」をGRカローラRZ仕様に最適化して搭載。ボディ剛性に関しては、スポット打点追加、構造用接着剤の塗付長を3.3m延長し、アンダーフロアへボディ補強ブレースを追加するなど、さらに強化されている。前席シートは専用のスポーツタイプシートが備わっており、強烈な旋回にも耐えられるサポート性とホールド性を持たせている。
軽量コンパクトなGRヤリスの走りと比べると、GRの車両のなかで最もロングホイールベース(2640mm)も手伝って、安定志向な車両挙動をイメージしがちだが、GRカローラRZは、そうした立ち位置は狙ってはいない。「お客様を魅了する野性味」を与えるべく、イメージをブチ壊すような、ハイパフォーマンスなエンジンが備わっているようだ。
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