■272psから304psまで引き上げたきっかけは「ダメ出し」
GRカローラRZで注目すべきは、エンジンパフォーマンスの向上だ。GRカローラRZは、GRヤリスにも搭載されている1.6L直列3気筒直噴インタークーラーターボエンジンを強化した、最高出力224kW(304ps)/6500rpm、最大トルク370Nm/3000-5550rpmのエンジンを搭載しているが、モリゾウエディションは、そこからさらに最大トルクをプラス8%、400Nm/3250-4600rpmにまで引き上げている。
特に、中回転域のトルクを高めたことで、ただでさえ強烈な加速性能がさらに強化されている。
GRカローラのチーフエンジニア(以下CE)である坂本尚之氏によると、企画開始の当初は、最高出力272psのGRヤリス用エンジンをそのまま搭載しての商品化を狙っていたそうだが、車両開発に携わったプロドライバーの石浦宏明氏(現スーパーGTドライバー)や勝田貴元氏(現WRCドライバー)、そしてモリゾウ氏に「野性味がない」といったダメ出しをされたことでカツが入り、急遽、パフォーマンスアップに踏み切ったという。
決まっていたエンジンの前提を覆されて四苦八苦したのは、エンジン開発担当の山成健司氏だ(スーパー耐久参戦中の水素カローラエンジン開発も兼ねる)。だが、スーパー耐久に参戦していたGRカローラで、すでにいくつかのパーツを試していたこともあり、まずは300ps越えのパフォーマンスに到達。
さらに、CEの坂本氏から「海外向けにヤードポンド表記で300hpにしたいのでプラス4psで!!」というお代わりも加わり、304psに落ち着いた、というバックボーンを話してくれた。
モリゾウエディションでは「究極」を求めるため、前述したように最大トルクを400Nmにまで向上。6速マニュアルトランスミッションも、GRカローラRZとはセッティングを変えており、(GRカローラRZに対して)ディファレンシャルギアのローギアード化と、1~3速のクロスギアレシオ化により、動力性能の向上と、気持ちのよいギアのつながりを実現した。
さらには、GRカローラRZ比で10mm拡幅をしたミシュランのハイグリップタイヤ(245/40R18 パイロットスポーツCUP2)を採用し、コーナリング時の安定性、ブレーキ性能を向上。
また、足回りには高性能なモノチューブアブソーバーを奢り、身体全体をホールドする専用セミバケットシートまでも採用。後席シートは取り払われ、30kgもの軽量化を達成する、という気合いの入りようだ。
インテリアの装飾もこだわっている。ドアトリムオーナメントやインストルメントパネルなどへは、鋳物ブラック塗装を施し、ステアリングホイールやコンソールには、高性能スポーツカーに多くみられる、上質なウルトラスエード表皮を採用した。エクステリア色にはモリゾウエディション専用のマットスティールを設定。さらには、ウィンドウシールドガラスにモリゾウサインが施されている。
■本年秋より、予約抽選の受付を開始予定
GRカローラ RZは、本年秋頃から全国のトヨタ車両販売店を通じて発売開始、GRカローラ モリゾウエディションは、本年冬頃から全国のGR Garageにおいて台数限定での発売を予定している。なお予約抽選は、本年秋頃から受付開始予定だ。「欲しい」と思うならば、すぐにでもアクションを起こしたほうがよいだろう。
WRCで勝つことを目的に開発された3ドアハッチバックのGRヤリスと、国内外レースで広く戦える戦闘力を持った5ドアハッチバックのGRカローラRZ。トヨタは贅沢にも、スポーツ4WD車を2台持つことになった。どちらがいいか?? という比較はナンセンスだ。どちらも「最高」なのだから。
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