2022年7月25日に発売された日産のミドルクラスSUV「エクストレイル」を試乗。北米や中国から発売が先行しやきもきした方も多いと思うが(ベストカーもそうです)、VCターボを組み合わせた「次世代e-POWER+e-4ORCE」搭載は海外仕様からのさらなる進化。一般道を走り4代目の完成度・日産電動車の新たなる可能性を実感してきたぞ!!!
※本稿は2022年8月のものです
文/ベストカー編集部、写真/NISSAN、ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学、取材協力/日産東京販売板橋店
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
■新たな日産電動化時代を象徴するパワートレーン「e-4ORCE」
新型4代目エクストレイルの国内向けモデルは、先行して発売されていた海外向け仕様にはない、国内専用のパワートレーンが組み合わされる。
この新開発直列3気筒1.5L可変圧縮比(VC)ターボを発電用エンジンとしたモーター駆動(e-POWER)というのがトピック。
特に後輪を独立した136ps/19.9kgmというパワフルなモーターで駆動する『e-4ORCE』は、新たな日産電動化時代を象徴するパワートレーンだ。
だがクルマはやっぱり一般公道を走ってみなければわからない。早速、都内の販売店で試乗車を借りて街中を走って試してみた。
対面した新型エクストレイルは、パリッとした佇まいが端正でエクステリアの仕上げは上質。
パネルのチリ合わせなどがピシッとしていて、組み立て精度の高さが感じられる。
また、インテリアは上質なレザー仕様で高級感を感じる。
横幅の広いセンタークラスターや液晶パネルを使ったメーターなど、従来のエクストレイルとは一線を画する高級SUVの雰囲気だ。
■スーッと走り出して力強く上質な加速感
とにかく走りだそう。ブレーキをリリースするとスーッと走り出す。一瞬モーター駆動だということを忘れてしまうほど自然な走り出しだが、エンジン音を感じない。
グイとアクセルを踏み込むとモーターのトルクが立ち上がり、パワフルに加速をするのだが、ドカンと一気にモーターのトルクを立ち上げない制御が絶妙。
感覚としては、2.5~3Lクラスの低中速トルクが豊かなNAエンジンのような加速感なのだ。
フロントモーターは33.7kgm、リアモーターは19.9kgmの最大トルクが発進の瞬間に立ち上がる性能特性だが、あえてエンジン車の加速感に近い、ナチュラルなトルクの立ち上がり方に制御しているのだろう。
スーッと滑らかな加速が息長く続いていく。街中での日常的な使用シーンでは、この加速感が違和感なく、使いやすい。
急加速を要する場面ではエンジンが始動してモーターに電力を供給するのだが、エンジンの回転上昇と速度の上昇がリンクしていて心地よい。
3気筒ターボのエンジンは、振動や必要以上に音の大きさを感じさせることはないのだが、それでもちゃんと存在感をアピールし、ピュアEVではないことを実感する。
フロア剛性がガッチリと高いのだろう。サスペンションがしっかりと動いて、路面の小さな段差でダンダン突き上げるようなことはなく高級感を味わえる。
操舵に対する車体の反応も素直で、スッと曲がってリアの追従も素直で、左右の切り返しでも車体の大きさや重さを感じさせることはなかった。
そこにはモーターだから可能となった緻密な駆動力制御の「隠れた力」も奏功している。これぞ電動車の新たなる可能性なのだ。
●日産 エクストレイル「G・e-4ORCE」主要諸元
・全長:4660mm
・全幅:1840mm
・全高:1720mm
・ホイールベース:2705mm
・最低地上高:185mm
・最小回転半径:5.4m
・車両重量:1880kg
・エンジン:直列3気筒DOHC VCターボ
・総排気量:1497cc
・最高出力:144ps/4400-5000rpm
・最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・フロントモーター:204ps/33.7kgm
・リアモーター:136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:18.4km/L
・Fサスペンション:ストラット
・Rサスペンション:マルチリンク
・タイヤサイズ:235/55R19
・車両価格:449万9000円
●エクストレイル主要グレード価格
《2WD》
・S:319万8800円
・X:349万9100円
・G:429万8800円
《4WD》
・S e-4ORCE:347万9300円
・X e-4ORCE:379万9400円
・G e-4ORCE:449万9000円
・X e-4ORCE3列シート:393万0300円
コメント
コメントの使い方