毎日新車ディーラーを回って取材し、「旬」の新型車情報を届けてくれる流通ジャーナリストの遠藤徹氏。今回はトヨタ系の新車ディーラーを数多く取材し、2019年の新車スケジュールと、その先の販売店戦略、それにともなう不満を中心にレポートします。
ここ数年、縮小し続ける日本新車市場。トヨタはそれにともない「手」をうってくるようです。それがうまくゆくのか?? そのほかの新型車情報とともにお届けします。
文:遠藤徹
ベストカー2019年2月10日号「遠藤徹の地獄耳スクープ」より
■トヨタの2019年の新車はスープラ、RAV4、カローラ、ハイエース
トヨタ販売店筋によると、2019年内にトヨタが発表する新型車(フルモデルチェンジ&新規モデル)はRAV4、カローラ、スープラ、ハイエースの4車種になるようです。
これらを扱う販売店は東京地区が全店になる以外はまだ正式には伝えられていませんが、最初から全店扱いにはせず、複数店の併売からスタートして、2025年までに全店扱いに切り替える方法で対応するものと思われます。
このうちハイエース以外はすでにトヨタ側から(海外で先行公開された際に「日本市場では〇頃発表」と)公式に年内発表がアナウンスされている。ハイエースに関してはモデルサイクルを考えるとやや意外だが、これについてはさらなる取材を続けており、詳細が判明次第、またお伝えする。
なお、マイナーチェンジは年末にC-HRが3年ぶりの手直しする時期を迎えます。
■エスティマの2019年廃止通達に困惑する営業マン
エスティマが2019年12月いっぱいでモデル廃止となる…という通達がトヨタ各販売店に通達されており、取り扱い店であるトヨタ店とカローラ店の営業マンは困惑顔になっています。エスティマの代わりにトヨタ店では2020年1月から(トヨペット店の併売で)アルファードを発売予定、ヴェルファイアはネッツ店、カローラ店で併売することになります。
トヨタ自動車本体の営業部は「アルファード/ヴェルファイアがあればエスティマがなくなっても穴埋めできるだろう」という考えのようです。
ところがトヨタ店の某営業マンによると「お客さんのなかにはエスティマクラスの大きさがベストという声がかなり多い。アルファードでは大き過ぎて扱いにくく、そちらに代替えしたくない。他社のモデルに買い換えるかもしれない」と言います。
現在、エスティマは受注生産状態で、納期は2カ月待ちとなっています。首都圏のトヨタ店、カローラ店ではカーナビ、ETC付きだと30万円からの値引き交渉スタートが多くなっています。
■トヨタ全店併売への1本化は販売政策の変化を起こす?
トヨタは2025年までに国内販売乗用車の車種を半分に削減することと4系列店を1本化する統合を目指していますが、このことは新しい販売政策を生み出す要因にもなっています。具体的には、トヨタ車同士の競合廃止、ワンプライス販売の断行、成約後の生産納車などが実施されることが予想されます。
トヨタ車同士の競合廃止は各地域で4系列店を統合し、1法人体制になれば、各店舗は同じ会社になり、ユーザーは一元管理されるので店舗同士の値引き競争ができなくなります。この場合は、最初に交渉を開始した店舗に優先権があり、他店舗での同一車競合による値引き交渉ができなくなります。ただし、ほかの地域の別法人との交渉は従来通り可能になります。
ワンプライス販売は、現在の4系列店を1本化することによってトヨタのトータルの販売力が強くなり、値引きを引き締めた売り方がしやすくなります。最近の首都圏における事例では車種ごとに値引き割合を、車両本体から定価の4〜5%、メーカーオプションから10%、ディーラーオプションは20%などと決め、これをワンプライスとして販売する手法を採用している店舗が目につきます。
成約後の生産納車は、ユーザーと正式な購入契約を結んでからメーカーが生産をして納車するというものです。従来のような見込み生産はしないで、在庫を持たないということです。そのため、納期は遅れますがメーカーや販売店の在庫管理が少なくなり、効率のいい販売ができるメリットがあります。
というわけで、これらが実施されると、ユーザーにとってはあまりありがたくない結果となりそうです。
コメント
コメントの使い方