■足回りはよりしなやかで最後に踏ん張る!
サスペンションでは、スプリング&スタビライザーの剛性をアップ、ロール剛性を11%アップさせている。これによりライドハイト(最低地上高)は5mmダウンした。
ダンパーはタイプRではザックス社製の減衰力可変ダンパーが採用されているが、RSではショウワ製の、ダンパー径がアップされたものを採用している。入力初期と微低速時の応答性をアップさせることが狙いだ。
加えてコンプライアンスブッシュを従来の液封(乗り心地重視)からソリッドラバーに変更し、剛性を80%アップ。この変更箇所はフロントのロワアーム後ろ側と、リヤのトレーリングアーム前側だ。
ステアリングシャフトのトーションバーレートも、60%アップしてステアリング応答を高めている。ブレーキではフロントのディスク径を15⇒16インチに大径化(有効径6%アップ/熱容量14%アップ)。ブレーキパッドも面積/熱容量が17%アップされた。
目的は峠やサーキット走行での熱対策だが、現行モデルに対して温度上昇を約10%低減できたのだという。さらにブレーキ踏力も最適化されたというから、これは試乗して試してみよう。
■タイプRのレブマッチシステムを採用! 回転合わせはクルマ任せ!
ドライブモードだが基準車にはエコとノーマルがあったが、RSではこれにスポーツモードが追加されている。エンジン出力はより強化され、ステアリングフィールもダイレクトに、そしてメーターパネルの表示がスポーティーなものになる。
走り始めてまず感じられるのが、ステアリングフィールのダイレクト感。転舵した瞬間にフロントタイヤの面圧が上がってゆくプロセスをしっかり感じ取れる。攻め込んでいくに従って限界領域が分かりやすい。さらにスムーズさが印象的だが、クイックステアにもしっかり対応するから剛性強化の効果は実感できる。
MTのシフトはストロークと重さがちょうどよく、クラッチペダルの重さとストロークもシフトにマッチした設定になっているのでシフトが楽しい。
レブマッチシステムはとても賢く、フライホイール軽量化によって確かに回転落ちが速くなっているからヒール&トゥなどしなくてもスパッとダウンシフトが決まる。敢えてヒール&トゥも試してみたが、回転落ちが速いのでポルシェのように素早く決まる。
そのエンジンだが6500rpmでリミッターが作動。この高回転域のレスポンスも良く、特に中速域のトルク感もなかなかのもの。
■これぞ現代のMT車のお手本だ!
サイクルスポーツセンターは自転車専用コースだが、あちこちに微妙なアンジュレーションや道路の繋目などがあり、鏡面のようなスムーズなサーフェースではない。そのため乗り心地を心配していたのだが、細かい突き上げなどいわゆるハーシュは想像していたほどではない。
たしかにスプリングレートやブッシュを固めたスポーティーさは感じられるが、シートの減衰性も良く、かといってシートホールディングも良いので気にならない。とはいえ後席試乗はできなかったのでそこは未知数だ。
コーナリングでのロール感は少ないが、これはダンパーの伸び側の減衰力が強化されていて、ロールスピードが抑えられているから感じること。実際にはそれなりにロールしている。
このようなセッティングはレースでもよく行ったが、コーナーイン側のタイヤにより長い時間荷重を残すことで、タイヤのグリップを最大限活用することが目的なのだ。ちなみにタイヤはグッドイヤー イーグルF1が装着されていた。
インテリアでは赤のピンストライプとシートとステアリングに赤のステッチ。エクステリアでは各所にRS専用のブラック加飾が施され前後にはRSの赤いエンブレムが眩しく光る。
MT車の楽しさをしっかりと具現したモデルとして、シビックRSは実に頼もしい存在だった。
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