■フレーム車を感じさせないガソリンの走り
まずはランクル250のディーゼル/ガソリン車共通の印象だが、GA-Fプラットフォームをはじめとする基本構成はランクル300と同じだが、操作に対する反応の素早さ、薄皮を3~4枚剥いだかのようなダイレクト感と正確性、吸収スピードを優先したスッキリした足さばきなどは別物と言ってよく、クルマの動きは「速やか」、「軽快」である。
この辺りは250専用のスタビライザーやジオメトリー、サスペンションのセットアップに加えて、電動EPSやPDA(車線内走行時常時操舵支援)の採用も効いていると予想。
更に重箱の隅を突いてみると、ガソリン車の走りの精度の高さが光る。例えば、連続するコーナーで素早い操作を行なうとディーゼル車は車体とフレームのヨーの収まりにズレを感じるのと、バネ下の重さや段差の乗り越え時に入力が縦方向だけでなく横方向に僅かに伝わってしまうフィーリングに、「やはりフレーム車だよね」を感じてしまう事が時々あるのだが、ガソリン車だとその現象はほぼなし。つまり、ガソリン車は掛け値なしで「フレーム車だと感じない」走りなのだ。
この辺りは車両重量の差(150㎏前後)も影響していると思うが、ガソリン車の街中での扱いやすさを考慮したセットアップが、いい方向に働いていると予想する。
■街乗り中心なら悪くはないが……
では、総合的に見るとガソリン車はお勧めめできるのか? かなり悩ましいが、条件付きなら「YES」である。
まずは実際に試乗してみて動力性能に納得できた人。恐らくフレーム式のクロカンSUVのガソリン車、それも直列4気筒+4速AT時代の走りを知る人でなら許容範囲かな……と。クロカンSUVがブームだった頃のモデルは本当に走らないモデルもあったので(汗)。
続いて、街乗りが中心であまり遠出をしない人、更には動力性能よりも見た目/雰囲気のほうが重要な人だ。パワートレインは総合的に見ると力不足だが、“日常域”に限定すれば必要十分レベルなので(実用燃費は決して褒められないが……)、そこを理解して割り切って乗るならアリだ。
ただ、このようにお勧めできる人はかなり限定されるのも事実だ。価格を比べると同グレードでガソリン車はディーゼル車より85万円安いものの、「ガソリン車の安さだけにつられて買うべきではない」と言うのが、筆者の結論である。
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