新型カローラ2万台受注の裏側と気になる売れ筋 ご祝儀相場? それとも?

■販売サイドが気にする価格増

 販売が伸び悩む懸念があったのは、新型カローラが3ナンバーサイズに拡大し、クオリティアップで上級シフトしたことや、ハイブリッドモデルを従来の1.5Lから1.8Lに1本化したことで、この分も大幅値上げにつながっていることなどが挙げられる。

 従来モデルの消費税込み車両本体価格は、152万6040~261万3600円だったのに対して、新型車(継続販売車を除く)は216万9200~299万7500円であり、その差は64万3160~38万3900円となっている。消費税を10%に引き上げた分を差し引いても30万円以上も値上げした計算になる。

 これに対して、首都圏にあるカローラ店の営業担当者は「カローラという名称を引き継いでいるが、まるで違う上級のクルマというコンセプトでお客さんに売り込むようにしている。ハイブリッドモデルが1.8Lに1本化し、3ナンバーサイズでクオリティを上げている。安全対策も新しいデバイスを標準装備している」とコメントしている。

一本化された1.8Lハイブリッドエンジン。価格は上がったが、販売比率を見るとハイブリッドモデルの人気が高い

 大幅値上げをカバーする対策も実施している。そのひとつが残価設定クレジットの奨励である。車両本体の3分の1程度を残価とし、残りの70%を5年間の分割払いにすると、通常ローンよりも毎月の支払額がさらに安くなる。

 例えば、新型カローラHVS(FF)を購入するのに約300万円の支払を頭金100万円、割賦元金200万円を48回払いで残価設定クレジットを組むと初回が3万3265円、残りの46回は3万2000円とリーズナブルな計算になる。この場合の実質年利は5.5%と高めだが、5年後の精算では無傷だと、残価を大幅に上回りその分お得になる仕組みにしている。

 また販売店によって差があるが、12月末までのキャンペーン期間は10万円程度の車両値引きと、10万円分の用品サービスと、新型車にしては異例の特別セール企画も実施している販社が目につく。高額で売りにくい新型カローラを少しでも買い得に見せたいアピールともいえそうだ。

■気になる納期と売れ筋は?

 11月上旬現在の納期は1~2カ月となっている。販社によってばらつきがあるのは、最初の見込み客の集中を見込んで、多めにメーカーに発注をかけているかどうかがあるため。それにしても、ブランドパワーのある新型カローラにしては納期が短めともいえる。

 ボディタイプ別の大まかな受注構成比はツーリングが50%、スポーツ30%、セダン20%となっている。ハイブリッドは全シリーズの60~70%と高い。メイングレードは、ツーリングは最上級のW×B、セダンは中間のS、 スポーツは最上級のG”Z” となっている。

 トヨタの開発陣は「新型カローラは、若者受けをするデザインを採用して開発した」と発表会の席上で明らかにしている。これに対して、首都圏にあるカローラ店の営業担当者は「現段階では受注台数の年齢層は35歳から80代までの幅広い層が買い求めており、歴代モデルとそれほど大幅に変わっていると印象はない」と受け止めている。

開発者としては若返りを狙った新型カローラ。TRDやモデリスタといったメーカー系チューニングパーツも、スポーティなイメージのものが多い

■販売の現場から見た新型カローラ

●証言:首都圏カローラ店営業担当者
 新型カローラは3ナンバーサイズに拡大しクオリティアップし、エンジンもハイブリッドは1.8Lに1本化。安全対策も、最新デバイスを採用するなどして上級シフトし、価格も大幅アップしたので、フルモデルチェンジではないが、まったく新しい小型車が発売になったと受け止めている。

 商談にかなり時間がかかっているので、飛ぶように売れるというわけにはいかない。歴代モデルのユーザーだけでなく、プリウス、カムリ、プレミオ、アリオンなどいろいろなオーナーからの代替えが目立っている。当社は、年末までの分を余計にメーカーへ発注しているので、1カ月もすれば納車は可能な状況にある。

【画像ギャラリー】新型カローラ3モデルの売れ筋グレードをチェック!

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