2か月ほど前、2000年代に日産を支えた名ブランド キューブが生産終了というショッキングなニュースが流れた。
代わりとなる新型車の登場のウワサも聞こえて来ず、また、筆者が個人的に期待していた新型ジュークの国内向け発表などもない。
この状況を、内部にいる日産社員はどう感じているのだろうか。元日産社員である筆者が、東京モーターショーの会場で出会ったとある担当者に話を伺った。
文:吉川賢一、写真:日産、ベストカー編集部
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日産社員もブランド消滅について悲しんでいる
担当「やっぱり、うちの会社って車出してないなって印象強いですか? 」
筆者「その通りです。特に日本市場ですね。なぜ日本に新型ジュークを出さないの? 何でキューブも止めちゃうの? って疑問だらけです。」
担当「そうですよね。次はこれが来た! あれが来る! という展開ではないのですよね。」
筆者「消えていくクルマが多く、モデルチェンジするクルマが少なくて、寂しく感じます。」
担当「バックグランドを取り除いて事実だけを並べていくと、国内には新車が出てない、日本を市場大事にしていないって見えてもしょうがないですね。
ただ、タイミングが悪いということもあるのです。バイオリズムの様に、今後は徐々に日本向けの車が増えていきます。計画はあるので、しばらく待っていてほしいと言うしかありません。」
筆者「もともと私も日産にいた人間ですから、何もしていないわけじゃないというのも分かりますし、日本で出していなくても海外ではしっかりと良いクルマを出しているという事情も分かっています。
また、いいクルマを作りたい! って気持ちは皆が持っているけれど、でもなぜか、プロジェクトが動かないというのも、筆者は過去に経験して分かっています。
ただ、残念ながらそうした真実は、外に伝わらないですからね。」
日産のコンパクトカーのミライとは?
筆者「私は、キューブをEVにすればいいんじゃないの?とずっと思っていました。」
担当「いいアイディアですね!私もそう思います。EV開発初期の頃、メディア向けに公開したテストカーは、Z11型キューブがベースでした。あのコンセプト、とてもマッチしていると思っていました。」
筆者「そうした良い素材のクルマが減ってしまうのは大変残念です。マーチにも危機が迫っていると聞きました。海外で売られている現行マイクラには右ハンドル仕様もありますよね?
つまり設計図はあるのですから、追浜工場を活用して、マーチを続けてほしいと思うのですが…。」
担当「その売るためのプロセスもタダではないので、その投資をよしとするかは経営判断ですからね。「出したい」という気持ちだけではビジネスは成り立ちませんから。」
筆者「ですが、小さなクルマをしっかり売っていかないと難しいと思います。いつまでもノートe-POWER・セレナe-POWER特需が続くはずはないですし、新型フィットや新型ヤリスなど、ライバルは次々と新型に移っていきます。」
担当「確かにその通りですね。」
筆者「デイズや、ノートe-POWERが好きではない方にむけたクルマがほしいです。
コンパクトをもう一台ラインナップに加えていただきたいです。まあ、日産さんにもいろいろ戦略があるのでしょうが…。」
担当「ただ、数年前と比べて、日産の日本市場は元気になってきました。数年前はもっと悪かったですから(なのでもう少し待ってください)。」
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