■実際に道路設備に損害を与えた場合の賠償額は?
ガードレールのお値段は、1mあたり1万円前後。ガードレールの大きさや形状によっても前後するが、案外安いと思う人もいるのではないだろうか。
と言ってもこれはクルマで言えば部品代に過ぎない訳で、実際に損傷したガードレールを交換するとなれば、道路の一部を占拠する必要があるため、道路使用許可を申請したり、工事車両や作業員の手配など様々な費用が発生する。さらに支柱の交換作業が伴えば、道路の一部を掘り起こす必要が生じるため、実際の交換費用は20万円以上となることが珍しくないのである。
標識やカーブミラーの場合、お値段は1つ4万円ほどだが、これは構造上、損傷を受ける支柱などを交換する場合が多く、実際の交換作業は20万円以上になることが多いようだ。
信号機はコストダウンが進んで、歩行者信号などは1台10万円前後から存在するが、通常のLED信号機は50万円前後、右折信号など矢印式信号機も搭載しているタイプになるとさらに高額になる。
それに交通事故で信号機本体が損傷することは少なく、クルマが直接衝突する支柱や電柱に取り付けられている交通信号制御機が損傷を受けることもある。実はコイツが高い。信号機の複雑さなどでも左右するが、もし制御機を備えた支柱に激突して信号機と制御機を破壊してしまったら、300万円近い賠償額となることもあるのだ。
そして電柱だけでも交換するとなれば、1本30万円~60万円はかかる。さらに電柱を倒してしまい、電線を千切ってしまったり、一定の割合で備わっているトランス(変圧器)が付いている電柱を壊してトランスにまでダメージが及んでしまうと賠償額は跳ね上がり、数百万円レベルになることもあり得るのだ。
ちなみに、サーキットでもクラッシュして設備に損傷を与えた場合、賠償する義務がある。その費用はサーキットによって異なるが、クラッシュパッドはカバーを破ってしまうと2万円前後、本体を壊すと7万円前後の賠償が発生する。ガードレールは1枚4万円前後というのが目安らしい。ただしサーキットの事故は通常の自動車保険ではカバーされないのでご注意を。サーキットや走行会によっては共済制度を設けているところもある。
補償が手厚い自動車保険に加入したうえで、丁寧に慎重に運転する。これは、我々クルマを楽しむドライバーに課せられた最低条件と言えるのではないだろうか。
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