トヨタ関連のビジネス書を手に取ったことがある人にはお馴染みの「カイゼン」。しかし、言葉は聞いたことがあるが、実際に何をすることなのか分からない人も多いのではないだろうか。トヨタの言うカイゼンは「効率化」とも言いかえる事ができる。トヨタのような製造業ではもちろんだが、製造の現場だけでなく事務職でも営業職でも、トヨタ流カイゼンの基礎を使って仕事を大きくレベルアップさせることも可能だぞ。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(トビラ写真=Diamond Fuji)
【画像ギャラリー】すべての道は片付けから! 事務にも営業にも応用できるトヨタ流仕事効率化術!(3枚)画像ギャラリーデスクを見ればデキるか否かがわかってしまう
あなたが日常的に仕事をする机の上はどうなっているだろうか。デスクの上の状態を思い浮かべてほしい。まず常時おいてあるモノをリストアップしていこう。
そのリストには、いくつの項目が並ぶだろうか。電話・ノートパソコン・スマホ・文房具・書類・ファイルetc……。就業時間中はこれ以上に、デスクの上はモノで溢れかえっていると思う。
ここで、トヨタ流の仕事術を体現し続ける、トヨタ自動車株式会社の役職者の机はどうなっているのか紹介していきたい。なんと、デスクの上に常に置いてあるのは「電話」ただ一つだけ。仕事中は、その日に使う書類とノートパソコンが置いてあるのみで、退社時のデスクはまた電話ひとつだけになる。これがトヨタの課長級以上のデスクの上だ。
一般的にはデスクの上に書類がたくさんある方が、いい仕事をしているように感じるが、トヨタの場合は全くの逆。デスクの上が煩雑な人は、仕事のデキない人なのだ。
トヨタのカイゼンを知る前に、その土台となる5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を理解しなければならない。カイゼンやトヨタ生産方式を支えている土台は、簡単に言うと「片付け」なのである。
「書類がすぐに出てこない」・「モノをすぐに無くす」人が毎日のように行う『探す』時間が、他の業務に充てられたらどんなに効率的か。トヨタの課長のような片付けが出来てくると、仕事現場であるモノが気になってくる。ここに気づいた瞬間が、カイゼンを回す第一歩なのだ。
ムダを無くせば利益が増える
カイゼンには「現状に満足せず、今よりもっと良くする」という意味がある。つまり日常的なムダに気付き、ムダを無くしていくことがカイゼンの第一歩だ。
トヨタ流のムダにはいくつかの種類があるが、前述の片付けが出来てくると、一般的な事務や営業職では、次のようなムダが発生していることに気が付くだろう。
・スペースのムダ:空間は利益を生み出すベース。無料のスペースは存在しない。
・時間のムダ:探す時間が最たる例。探す時間があるならその時間で利益を生み出したい。
・間違えるムダ:不良やクレームの温床。間違えて戻る時は時間のムダも作り出す。
・取りに行くムダ:頻繁に使うのに動線が長いなど。これも時間のムダにつながる。
こうしたムダを無くすと、自ずと利益につながる仕事が出来てくる。成績の良い営業マンや業績のいい会社では、こうしたムダが非常に少ないのだ。
カイゼンもトヨタ生産方式も片付けからスタート
職場の片付けやデスクの片付けはいつやるのか。「片付けなんて業務時間外に個人的にやってよ」という考え方は愚の骨頂だ。片付けこそ業務時間中に行うこと。片付けは仕事の一部なのだ。
片付けを行う際には、次のことを意識してほしい。
・整理:要るものと要らないものに分けて、要らないものはすぐに捨てる。
・整頓:必要な時に必要なだけ取り出せるようにする。
・清掃:徹底的にキレイにする。日常的にキレイな状態を維持する。
・清潔:ここまで行った「整理・整頓・清潔」が整った状態を維持する
・しつけ:清潔を保つためのルールを守る
たったこれだけで、生産性は高まりミスが減る。商品品質は高くなり、従業員同士もいい関係になっていくだろう。
カイゼン・トヨタ生産方式といったトヨタの仕事術は、片付けからスタートする。明日から実行できるトヨタのマネ。難しく考えずに、まずはキレイに片づけるべし。
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