【ヴォクシー、パジェロなど】箱根駅伝の名シーンに華を添えたクルマたち

【ヴォクシー、パジェロなど】箱根駅伝の名シーンに華を添えたクルマたち

 お正月の風物詩、箱根駅伝は、2017年でなんと第93回大会を迎える。

 長い歴史のなかで数々の人間ドラマが生まれ、全国区の人気を持つようになった箱根駅伝。その影には大会の長い歴史と同様、さまざまなクルマが名シーンを支えてきた。

 伴走車にもレースと同じくらいのドラマがあるのだ。

 文:ベストカー編集部/写真:WEBベストカー編集部、TOYOTA、HONDA、三菱
ベストカー2016年1月10日号


“自由な”黎明期から陸上自衛隊ジープの時代へ

 初期のレースに登場するクルマは、T型フォードからいすゞヒルマンミンクス、トヨペットクラウンなどバラエティ豊か。

 なかでも特に伴走車としてのイメージが強いのは三菱ジープだ。陸上自衛隊のジープの使用が開始されたのは1973年からで、以後、箱根駅伝で陸自のジープが活躍する時代が長く続くことになる。

 しかし、実はジープは陸自が提供する以前にも走っている。これには、各大学が伴走車両を自ら持ち込んでいた時代があり、その際に三菱ジープを選択した大学があったからという理由が隠されていた。

 1960年代半ばには、ジープの姿を見るようになってくるのだが、こうした事情が背景にあったため、陸自ジープ時代以前は、さまざまなクルマが箱根駅伝のワンシーンに登場したのだ。

フォードモデルT(1929年)戦前大会に登場した黎明期の箱根を彩る1台
フォードモデルT(1929年)戦前大会に登場した黎明期の箱根を彩る1台
ヒルマンミンクス(1960年)この頃までは各大学が自由に車両を持ち込むことができた
ヒルマンミンクス(1960年)この頃までは各大学が自由に車両を持ち込むことができた
ジープ(1973年)陸上自衛隊による提供は1973年からだったが、それ以前も各大学によってジープが持ち込まれることはあった
ジープ(1973年)陸上自衛隊による提供は1973年からだったが、それ以前も各大学によってジープが持ち込まれることはあった

自動車メーカーの時代の到来。三菱、そしてホンダへ

 ジープ時代は長らく続いたが、1989年に陸自のジープの使用は終了し、1990年代には、三菱が車両を提供するようになる。

 監督車には1998年にデリカスペースギアが、そして2000年から2002年までは3年連続でパジェロが務めた。

 そして、2004年から三菱に代わって箱根駅伝に車両を提供することとなったのがホンダだ。ホンダは2005年から燃料電池車のFCXを走らせ、2009年にはFCXクラリティも走らせた。

 ちなみに各チームに1台与えられる運営管理車としては、エリシオンなども活躍している。

 ホンダは2010年まで箱根駅伝に車両提供を行ったが、その最終年、2010年といえば、ご存じ“山の神”が誕生した年でもあった。

 当時、東洋大学の1年だった柏原竜二は、往路5区の山登りで、6人を抜き去るごぼう抜きの快走を見せ、見事区間新記録を達成。

三菱時代は、パジェロやデリカが箱根路を彩った
三菱時代は、パジェロやデリカが箱根路を彩った
ホンダは箱根駅伝で初めて燃料電池車のFCXを提供
ホンダは箱根駅伝で初めて燃料電池車のFCXを提供
各大学に提供される運営管理車ではエリシオンも活躍
各大学に提供される運営管理車ではエリシオンも活躍

2011年からトヨタが車両提供を開始

 そして、ホンダの車両提供は2010年いっぱいで終了。翌2011年からはトヨタ時代となり、今度はトヨタのクルマが、その柏原が自身の記録を更新する2年連続の区間新記録を見届ける形となった。

広報車を務めたG’sアクア。中継にはあまり映らなくても、実際には、ざまざまな車両の協力で箱根駅伝は作られているのだ
広報車を務めたG’sアクア。中継にはあまり映らなくても、実際には、ざまざまな車両の協力で箱根駅伝は作られているのだ

 トヨタは、プリウスPHVなどを提供。さらに2015年にはMIRAI、2016年は新型プリウスを提供するなど企業の顔といえるエコカーが箱根に登場してきている。

 ちなみに、ひとくちに箱根駅伝の伴走車といっても、さまざまな役割のクルマが存在する。最もメジャーなのは、「大会本部車」。これは主に先頭のランナーの前後を走るクルマで、テレビ中継でも、最も目立つ存在だ。

 それ以外にも各大学に1台ずつ提供される「運営管理車」(2016年大会では、ヴォクシーなどが活躍)などもある。

 2016年大会では「広報車」にG’sアクアが提供されるなど珍しいシーンもみられた。

 こうしてみると大会の数だけ、伴に歩んできたクルマの歴史もやっぱり深い!!

 各大学に1台ずつ提供される運営管理車<br>ボンネットには出場大学のカラーラインがある。
各大学に1台ずつ提供される運営管理車
ボンネットには出場大学のカラーラインがある。

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