CX-30の評価と課題 更なる販売増へ打開策は?
それでもCX-30は、人気の高いSUVに属するからマツダ3よりも販売面で有利だが、ファミリーカーとして使うには後席と荷室が狭い。
CX-30の位置付けは、CX-3とCX-5の中間とされるが、実用性はCX-3に近い。実用重視のユーザーは、ボディが少しワイドでもCX-5を選ぶ。
そして、CX-30とCX-5は、価格があまり変わらない。2Lガソリンエンジンを搭載する20Sプロアクティブ(2WD)同士で価格を比べると、CX-30が261万2500円、CX-5は285万4500円だ。
価格はCX-5が24万2000円高いが、CX-30ではオプション設定になる運転席パワーシートなどのセットオプション(6万6000円)を標準装着した。そうなると実質差額は17万6000円に縮まる。
この差額で、CX-5であれば後席と荷室が大幅に拡大されて内装の質も高まるから、CX-5が買い得と判断するユーザーも多い。
だからといって、CX-5の売れ行きも安泰ではない。2019年12月に改良を受けた影響もあり、11月と12月は大幅に落ち込んだ。最近のマツダはマツダ3とCX-30を発売しているのに、国内販売総数はいまひとつ増えていない。
この状況を打開するためにも、今後のCX-30は、特別仕様車の設定など販売のテコ入れを積極的に行うだろう。その対象は、主にガソリンとクリーンディーゼルターボだ。
「SKYACTIV-X」は、2Lガソリンエンジン搭載車に比べて68万2000円も高いから、売れ筋にはなり得ない。
ディーゼルの価格もガソリンに比べて27万5000円高いが、購入時に納める税額は、売れ筋グレードの場合で8万~9万円安い。そうなると実質19万~20万円で、高性能かつ低燃費のディーゼルが手に入り、CX-30のなかでは最も買い得だ。
ディーゼルを中心に、内外装の質を高めたり、360度モニターやドライバーモニタリングを割安に装着する安全指向の特別仕様車を設定すれば、有効な販売促進対策になるだろう。
また、CX-3のディーゼル車では6速MTを選べるのに、CX-30では、同じエンジンを搭載しながらATしか用意されない。6速MT仕様は大量には売れないが、趣味性を重視するCX-30としては欲しいラインナップだ。
CX-30は、日本の市場と相性が良いコンパクトSUVで、実質的にCX-3の進化版でもあるから、マツダとしては国内販売の主力商品に育てたい。今後もさまざまな工夫を施すに違いない。
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