「俺のタイプRを返せ!」被害者が語る中古車店で“消えたシビック”事件の真相とは?【独占取材】

破産手続き開始の通知が届き事件を知る

本社ビルには弁護士事務所名義で告示書が貼られていた
本社ビルには弁護士事務所名義で告示書が貼られていた

 そして数日して東京の弁護士法人から「受任通知書」が届く。日付はなんと5月19日。本社の電話が繋がらなくなった日だから、18日に本社に電話をした際には破産の方向で動いていたのだろう。通知書には約80名の債権者がいて、約4億2160万円の負債を抱えていると記されていた。

 その80名のなかにAさんが入っていることは言うまでもない。ほんの数日前に「入金の対応をする」といった会社が破産手続きに入るというのだから、急な倒産というには無理がある。

 編集部が調査をしてみるとAさんのシビックタイプRは、業者オークション「USS東京」で5月8日に出品されていた。つまりカートップはAさんから6日に車両を引き取り、翌日には車両を愛知県から東京まで移動。その後にUSS東京に出品している。

 毎週木曜日に東京のオークションは開催されるのだが、Aさんの愛車は8日のオークションで第三者に落札され、そして翌週15日に再度出品された。その時点でAさんが警察に相談して、警察がUSS東京に出品の差し止めを依頼している。

「警察も親身になってくれますが縦割り行政が……」

 Aさんが中古車を手放したのが愛知県だったが、現在は仕事などの都合もあり東京都に在住している。当然ながら自身のシビックタイプRが返ってこないという事件に巻き込まれ、すぐに警察に相談した。

「事件が愛知県で起きていてもちろん愛知県警の管轄じゃないですか。私は最寄りの警視庁管内の警察署に相談に行ったんです。親身に相談には乗ってくれていますが被害届を出せたのが5月26日。もちろん刑事事件と民事事件の違いはわかりますが、愛知県内で被害が多発しているからなのか、警視庁としてもそんなに本腰じゃないようです」。

 この辺りはぜひ被害者が泣き寝入りしないように、本庁をあげての捜査をお願いしたいところだ。

まとめ:計画的な倒産の可能性だってありそうだ

クルマは人生の目標でもあり、時には大切な相棒にもなる。ましてやスポーツカーとなればその思いもひとしおなはずだ
クルマは人生の目標でもあり、時には大切な相棒にもなる。ましてやスポーツカーとなればその思いもひとしおなはずだ

 Aさんは家庭の事情で泣く泣くシビックタイプRを手放したというが、もちろん現金は振り込まれないわ、車両も行方不明だわで、とてつもないショックを受けている。

「いつかは赤バッジ、そして最後の内燃機関のタイプRかもしれないと思って奮発して買ったクルマなんです。1年ちょっと納車まで待ってやっと手に入れたのに。こんなことになるならMOTAも使わなかったですよ。もちろんカートップが悪いんですけど、ショックです」。現状としては警察の動きを待つしかないという。

 まとめとなるが、カートップ側の動きで見れば5月6日に車両を引き取り、翌7日にはUSS東京に出品して現金化している。

 しかし前出のとおりAさんには入金はなく、カートップは多重債務が重なり他の返済に当てたのだろう。「買取をして即出品」を繰り返さないと資金繰りができない状況だったとみられ、車両引き取りが火曜日で、USS東京のオークションが開かれる木曜日が近いというのも決して偶然とは思えない。

 編集部は板橋区のカートップ本社に訪れてみたが人影はない。ここまで用意周到であれば計画倒産というべきか、逃げるべくして逃げたのかと思われても無理はない。

 一刻も早くAさんをはじめ、被害者の救済が進むことを祈りたい。

(編注:本文内に登場する”カートップ”は株式会社交通タイムス社が運営する自動車メディア”カートップ”との関連はありません)

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