かつての王者エクストレイルに逆襲の一手はあるか!? 強力ライバル続々登場で失速!

かつての王者エクストレイルに逆襲の一手はあるか!? 強力ライバル続々登場で失速!

 日産は「ジューク」が2019年12月で生産終了(現在は在庫分を販売)し、SUVラインナップが現在「エクストレイル」のみとなっている。ジュークが抜けた穴を埋めるモデルとして、2020年6月ごろに「キックス」が新規導入される予定だが、まだ先となる。

 初代、2代目とスクエアなフォルムで人気を集めたエクストレイルだが、2013年に登場した3代目では一転、モダンなエクステリアデザインへと生まれ変わった。

2015年:5万8448台
2016年:5万6151台
2017年:4万9873台
2018年:5万0304台
2019年:3万6505台

 年間の販売台数は2015年からになるが、2018年までは約5万台をコンスタントに販売していた。しかし、2019年は大きくその数を減らしている。その要因として考えられるのは、強力なライバルの出現だ。

 ミドルサイズSUVで圧倒的な支持を集めているトヨタ「RAV4」、そしてマツダ「CX-5」「CX-30」などが登場し、エクストレイルの持っていたパイが一気に奪われた。

 劣勢に陥っているエクストレイルだが、2020年に入り一部仕様向上を敢行した。先進安全装備を中心に大幅アップデートを行ったが、この改良をステップとして、再び販売台数を戻すことができるのか!? またどのようテコ入れを行うべきなのかを分析していく。

文/渡辺陽一郎
写真/NISSAN、編集部

【画像ギャラリー】2020年1月の一部仕様向上で先進安全装備が進化したエクストレイルに注目!!


■強力ライバル登場で苦戦だが、日産を支える重要な屋台骨といえるモデル

「エクストレイル」は、日産にとって大切な車種だ。売れ筋カテゴリーのSUVで、発売は2013年12月だから、設計もさほど古くない。従来の常識なら、発売から6年を経過すればモデル末期車だが、今の日産は新型車の発売を滞らせている。2011年以降は1~2年に1車種だから(マイナーチェンジやグレード追加を除く)、エクストレイルは、小型/普通車ではノートやセレナに次ぐ売れ筋車種だ。

一部仕様向上されたモデルは2020年1月23日から発売された。先進安全装備に関して、あまり大々的に改良をアピールしていないが、実はかなり性能向上している

 ところが最近は、トヨタの「C-HR」や「RAV4」、マツダ「CX-5」、スバル「フォレスター」など、新型のSUVが登場してきた。これに伴ってエクストレイルは売れ行きを下げている。2019年(暦年)の登録台数は、1カ月平均で3042台だから、ハリアーと同等ながら2018年に比べると30%近く減った。2014~2018年にエクストレイルは1カ月平均で4200台以上を登録していたから、2019年は落ち込みが大きい。

 前述のように今の日産は、新型車が欠乏した結果、堅調に売れる車種はデイズ、デイズルークス、ノート、セレナ、エクストレイルに限られる。エクストレイルが下降すると、日産の国内販売に悪影響を与えてしまう。

 以上の経緯もあり、日産はエクストレイルの改良を定期的に行う。2015年にはハイブリッドを追加して、2017年には運転支援機能のプロパイロットも装着した。2019年にはハイビームアシストの全車標準装着などを行い、オーテックも用意している。

■一部仕様向上で先進安全技術が国内最高レベルに進化

 そして2020年1月に改めて改良を行い、衝突被害軽減ブレーキを進化させた。従来は単眼カメラだけをセンサーに使ったが、2020年1月の改良では、ミリ波レーダーも加えている。単眼カメラセンサーはフロントウインドー上部の内側、ミリ波レーダーセンサーは、ラジエターグリルの中央に備わる日産エンブレムの内側に装着した。

 従来から採用してきた単眼カメラは、対象物を映像で捉えるが、ミリ波レーダーは反射を利用する。そのために夜間走行における検知能力が向上した。カメラとミリ波レーダーでは検知方法が根本的に異なるため、互いの欠点を補う効果も高い。朝夕の逆光などカメラセンサーが作動しにくい状態でも、ミリ波レーダーなら検知を継続できる。

 またエクストレイルでは、ドライバーから見えにくい2台先を走る車両との車間距離や相対速度差も検知可能だ。従って早い段階でドライバーに危険を知らせたり、衝突被害軽減ブレーキを作動させられる。この機能を「前方衝突予測警報」として、エクストレイル全車に標準装着した。この機能は以前から「スカイライン」や「フーガ」に採用されているが、エクストレイルではさらに進化させている。

 そして、プロパイロットも衝突被害軽減ブレーキのユニットを使うから、今回の改良で運転支援機能も向上した。性能を総合的に高めている。

 このほかグレードによっては、新しいタイヤの採用で遮音性能も向上した。一部改良でタイヤを新規装着することは珍しい。バリエーション展開では、本革シートなどを備えたレザーエディションも加えている。3列シートの7人乗りは、従来は20Xのみだったが、改良後はLEDヘッドランプや後側方車両検知警報などを備えた20Xiでも選べるようになった。プロパイロットなどの上級装備も、20Sと20Sハイブリッドを除くと標準装着されている。

次ページは : ■改良により進化するも車両価格はアップ

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