■改良により進化するも車両価格はアップ
価格は、4WDと2Lノーマルエンジンを搭載した売れ筋になる20Xiの場合、2列シートが325万6000円、3列は332万9700円だ。3列仕様は7万3700円の上乗せだから、CR-Vの19万4700円に比べると割安になる。
新旧の価格を主要装備の種類が増えていない20S同士で比べると、従来型と同額だ。つまりセンサーにミリ波レーダーを加えたコストはプラスされておらず、従来よりも買い得感を強めた。
安全装備の向上、3列シート装着車の充実、売れ筋グレードにおけるプロパイロットの標準装着などは、いずれも今のニーズに応えた改良だ。従ってエクストレイルの強力なセールスポイントになり得る。売れ行きもある程度は回復するだろう。
■逆襲に必要なのは新たなグレード設定による選択肢
しかし先に述べた通り、エクストレイルの1カ月平均の登録台数は、2018年までは4200台少々だったのに、2019年は3000台少々まで下がった。比率にすれば約30%の大幅減少だから、4200台前後まで戻すには、さらなるテコ入れが必要だ。
フルモデルチェンジを行えればベストだが、2020年1月に安全装備を刷新したから、発売後6年以上を経過しながらしばらくは現行型を売り続ける。そうなるとレザーエディションに続く新しいグレードや特別仕様車が求められる。
例えばエクストレイルに、ハイウェイスターがあってもいい。ハイウェイスターはエアロバージョンとして認知度が高いのに、ミニバンや軽自動車のみに設定されている。エクストレイルにもNISMOパフォーマンスパッケージはあるが、一種のセットオプションで、コンプリートカーではないから価格が割高だ。エクストリーマーXは悪路指向、オーテックはプレミアム感覚なので、わかりやすいエアロ仕様が欲しい。
好調に売れる車種が豊富にあれば、性格とバリエーションを絞ることも可能だが、今の日産ではマトモに販売できる車種が限られる。そうなると少々節操に欠けても、ひとつの車種に多種多様な仕様をそろえて拡販せねばならない。
「ノート Cギア」は、SUV風で着眼点はよかったが、外観が地味で成功していない。「セレナ」や「デイズ&デイズルークス」には、もう少しSUV感覚を強めた仕様を設けていいだろう。eKクロスのような路線を検討してもらいたい。
一方、SUVのエクストレイル、今後登場するコンパクトSUVの「キックス」には、車高を少し下げたハイウェイスターという具合だ。現時点で売れていない車種は、フルモデルチェンジをしない限り何をやっても販売は上向かないが、1カ月平均で3000台以上売れている車種はやり方次第だ。販売店の意見も汲み取り、ユーザーに喜ばれる仕様や装備を開発して欲しい。
今の日産は、実力をまったく発揮できていない。こんなモノではないはずだ。エクストレイルは逆襲できる!!
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