新型の「不安」もエンジン? 迫る燃費規制で高出力難しく
このように次期レヴォーグは、走行安定性、乗り心地、安全装備、運転支援機能まで幅広く向上させるが、現時点で気になるのはエンジン性能だろう。
希薄燃焼を使う1.8L直噴ターボの性能は明らかにされていないが、現行型の2Lターボに比べて動力性能は下がらないのか。次期型は1.8L直噴ターボエンジンのみだから、2Lターボのユーザーとしては動力性能の変化が気になるだろう。
今後の発売スケジュールも含めて、スバルの販売店に尋ねた。
「次期レヴォーグの発売時期は、正確には分かりません。年末になる可能性もあります。エンジンは1.8Lターボのみです。そのために現行レヴォーグの2Lターボを使うお客様からは、性能に関する問い合わせを多く受けます。
この詳細も不明ですが、現行2Lターボに比べると、最高出力や最大トルクは下がるでしょう。そこでハイパワーを求めるお客様は、現行レヴォーグ2.0 STIスポーツアイサイトの最終型に乗り替えています。
納期は現時点(2月下旬)の注文で、決算月の3月に登録できます。値引きを従来に比べて増やし、弊社ではSTIのパーツを割安に装着するサービスも実施しています」
という。
次期レヴォーグの詳細は不明だが、排気量が1.8Lのターボエンジンで希薄燃焼も使うとなれば、動力性能が現行2Lターボを下まわることは間違いないだろう。
1.8Lターボを搭載する背景には、今後世界的に厳しくなる燃費規制への対応がある。
日本の場合、国土交通省は2030年度にWLTCモード燃費で平均25.4km/Lの燃費基準推定値を発表している。2016年度実績値(19.2km/L)に比べると、32%の燃費改善が必要だ。
カテゴリー別の具体例としては、コンパクトカー(車両重量:1000kg)が27.3km/L、セダン(車両重量:1400km)は24.6km/L、ミニバン(車両重量:1800kg)は21.1km/Lだから、現行型の車両重量が1500~1600kgのレヴォーグは23km/L前後になる。
現行レヴォーグのJC08モード燃費は、1.6Lターボが16.0km/L、2Lターボは13.2km/Lだから、WLTCモードとなれば数値はさらに下がる。
レガシィから続く「高性能ワゴン」岐路に
10年後の話とはいえ厳しい内容で、目標年度内に基準を達成できない製造事業者等は、勧告・公表・命令の対象になり、罰金が科せられることもあるという。この将来に向けた対応も視野に入れて、次期レヴォーグのエンジンは希薄燃焼を使う1.8Lターボになる。
現実的には2.5Lハイブリッドを搭載するレクサスIS300hの2WDで、JC08モード燃費は23.2km/Lだ。レヴォーグが今後WLTCモード燃費で23km/L前後を達成するには、ハイブリッドシステムの活用も求められる。
また次期型は、前述のようにリーンバーン機能を備えた直噴ターボを搭載して、アイサイトには2個のカメラに加えてレーダーセンサーも備わる。通信機能も採用する。全グレードではないとしても、ドライブモードセレクトも用意する。
そうなると価格も必然的に高まり、現行レヴォーグで最も安価な1.6GTアイサイトが291万5000円だから、次期型は前述の新型エンジンと新機能の搭載で310万円以上になる。
今後は低燃費への対応でモーターの併用を余儀なくされ、高性能なエンジンは必然的に廃止されていく。
レガシィの時代から、スバルの高性能ワゴンに乗ってきた皆さんは、従来型レヴォーグの2Lターボを好条件で買うことも考えて良いだろう。
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