ほかにもこんな事例がある
- ・給油終了後、おつりを受け取りに行っている間に、同乗者が燃料キャップを閉めようとして出火
- ・給油をしていたが、一旦停止して別の作業をし、再び給油をしようとノズルに触れた際に出火
- ・バイクのドライバーが手袋をしたまま静電気除去シートに触れたために静電気を十分に除去できずに炎があがった
静電気除去シートに一度触れればよい、というわけではないことが、お分かりになるだろう。ほんのちょっとした気のゆるみが、事故につながるのだ。
フルサービス店舗の店員が「静電気除去」をしない理由
では、なぜガソリンスタンドの店員の方は、静電気除去シートに触れなくてもいいのだろうか。その答えは「ユニフォーム」にある。
フルサービスのガソリンスタンドにいる店員の方のユニフォームは「静電気帯電防止作業服(JIS規格の名称)」の基準を満たしており、静電気が帯電しづらくなっているのだ。
また、常に地面に足をつけていたり、金属の車体に触れていたりする、ということも、店員の方が帯電しづらい理由だ。
いっぽうでドライバーの方は、クルマから降りる際に、シートと衣類が擦れることで帯電しやすい状況にあり、ノズルを触るまで、放電の機会がないことも考えられる。
そのため、必ず静電気除去パッドをタッチすることが必要となるわけだ。
ちなみに静電気は、プラスに帯電しやすい素材とマイナスに帯電しやすい素材がこすれると発生しやすくなる。例えば、アクリルの素材はマイナスに帯電しやすく、ナイロンはプラスに帯電しやすい。
いっぽうで、綿や絹、麻といった自然素材は帯電しにくいため、こすれあっても静電気は発生しづらい。冬は重ね着をするため、帯電しやすい方はこのあたりを意識してみるといいかもしれない。
また、車のドアノブに触るのが怖いときは、一度地面に両手をついてから、ドアノブに触れることをお勧めする。導電性が高いものに触れる前に、土や木、コンクリートや革製品などに一度触れておくと、放電できるからだ。
まとめ
このような事故を受け、現在は給油ノズルには静電気を逃がす仕組みが施されるなど対策が進んでおり、セルフスタンドにおける静電気火災は徐々に減少している。
しかし、ガソリンが危険物であることに変わりはない。その認識を忘れることなく、作業することが大切だ。
そして、着衣の材質によっては、静電気除去してもすぐに帯電してしまうこともある。心配な時は、片手をボディに触りっぱなしにしているといいだろう。
現時点は静電気除去シートに触れなくても給油できてしまう。日本では死亡事故などは起こっていないようではあるが、静電気除去シートに触れないと給油できなくなる仕組みも、必要なのかもしれない。
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