四駆×ディーゼルは高価格! デリカD:5に求められる「工夫」とは?
先の販売店によると、
「マイナーチェンジ後のデリカD:5は、(ダイナミックシールドの)フロントマスクの好みが分かれるが、大半のお客様はクリーンディーゼルと4WDの組み合わせを希望される。
しかも、デリカD:5はリセールバリュー(=中古車としての価値)が高く、年式の割に高い金額で買い取れる。そのためにデリカD:5を何台も乗り継ぐお客様が多く、ますますディーゼル中心の売れ方になっている」
と説明した。
今のデリカD:5は固定ファンに支えられるクルマだから、ディーゼルを搭載する4WDに特化されるのは当然の成り行きだ。
ただし価格は、中級の「Gパワーパッケージ」が423万5000円だから、アルファードの2.5Lエンジン車にエアロパーツを組み合わせた「4WD・S」と同等になる。
新規ユーザーに向けて、大量に販売できる価格ではない。三菱車の売れ行きを増やすには、軽自動車のeKシリーズのように、日産と共同でセレナの姉妹車を開発して、ダイナミックシールドのフロントマスクを装着するような工夫も必要だ。
デリカD:5と三菱 今後の課題は?
2019年における三菱の国内販売台数は、登録車が4万6930台、軽自動車が5万6558台で、合計すると10万3488台であった。トヨタの155万台、ホンダの72万台、日産の57万台に比べると大幅に少なく、三菱の国内販売総数はアクア1車種分と同程度だ。
しかも50%以上が粗利の安い軽自動車だから、販売網を維持するには、堅調に売れる新型車を早急に投入する必要がある。
三菱は先ごろ国内の販売会社を再編して、経営を効率化すると発表したが、好調に売れる商品が増えないと経営を抜本的に好転させることは難しい。
そして販売店舗数がさらに減ると、三菱車を所有するユーザーに不便を強いることになる。日産と業務提携を結んだのだから、OEM車なども含めて、商品面の相乗効果を高めたい。
クルマには車検や点検、場合によってはリコールもあるから、家電製品のように量販店で売るのは難しい。メーカー別に専門化された販売店が不可欠で、そのネットワークはユーザーの利益に直接結び付く。
デリカD:5のガソリンエンジン搭載車を廃止するなら、新しい商品を加えて販売台数を維持しなければならない。
三菱車ユーザーの満足度を守るには、車種をこれ以上減らすことは許されない。
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すでに発売から13年経過しているデリカD:5だが、2019年2月に大がかりなマイナーチェンジを行ったばかりで、少なくとも向こう1年以内に新型が登場する可能性は低いだろう。
ただ、前モデル「デリカスペースギア」の販売期間(1994-2007年)を考えても、本来であればモデルチェンジの頃合い。
本稿で渡辺陽一郎氏が言及した日産との関係を活かした新たな姿も検討されているはずだが、現状で形になっていない以上、それも簡単ではないということだろう。
この2月にデリカD:5は1091台を販売するなど、モデル末期であることや価格帯、三菱車の販売動向を考えると、見た目の台数以上にユーザーの支持は厚い。
簡単ではないだろうが、唯一無二の価値を持つデリカD:5の新しいチャレンジに期待したい。
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