SUVとミニバンを融合したデリカD:5のガソリン車が、発売から13年経過でついに終売間近!! 三菱伝統の「デリカ」が抱える課題と揺れる今後はどうなる?
初代モデルの誕生から数えて50年以上の歴史を持つ三菱 デリカ。その最新モデル、デリカ D:5のガソリン車が、ひっそりと2019年12月に生産を終了。三菱から公式な発表はないが、今後はディーゼル車一本となる。
すでに発売から13年以上経過しているとあって、今後の動向も注目されるところだが、販売の実情はどうなっているのだろうか。そして、デリカD:5が抱える課題とは?
文:渡辺陽一郎、ベストカーWeb編集部
写真:MITSUBISHI、編集部
【画像ギャラリー】実は思った以上に室内も広い!? 新旧デリカD:5 驚異の激変ぶり!!
唯一無二の“SUVミニバン”デリカD:5も発売から13年経過!
最近はSUVの人気が高く、ミニバンの売れ行きも堅調だ。この2つの機能を融合させた車種が三菱 デリカD:5になる。
広い室内を備えた3列シートミニバンでありながら、アウトランダーと基本的に共通の4WDシステムを搭載。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)にも余裕を持たせたから、ミニバンでは悪路走破力が最も高い。ミニバンスタイルのSUVとも表現できる。
その発祥は古く、1979年にワンボックス商用車ベースの3列シート車としてデリカスターワゴンが発売され、1982年に4WDを加えた。
4WDシステムにはパジェロと同様の副変速機が備わり、悪路走破力も高い。これ以降、40年近くにわたってデリカは快適な居住性と優れた悪路走破力を両立させてきた。
現行デリカD:5は文字通り5世代目で、2007年に発売。プラットフォームと4WDシステムは、アウトランダーと共通で、4WDシステムは電子制御される多板クラッチを使って駆動力を前後輪に配分するタイプだ。
デリカD:5 ガソリン車は生産終了も在庫のみ販売
このデリカD:5のバリエーションが変更されることになった。直列4気筒2Lガソリンエンジンを搭載した2WD車と、2.4Lガソリンの4WD車が販売を終える。
販売店に尋ねると「ガソリンエンジン車は2019年12月に生産を終えて、(2020年3月中旬の)現時点では在庫を販売している」という。
現行デリカD:5は、2007年に発売された後、2012年には4WDモデルに直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルターボエンジン車を加えた。3列シートミニバンでは最初のクリーンディーゼルとされて注目された。
歴代のデリカスターワゴンやデリカスペースギアでも、旧世代ディーゼルエンジン車が好調に売れて、実用回転域の高い駆動力は悪路の走破でも都合が良かった。
そのためにデリカD:5でも復活したディーゼル車が人気を高め、2015年以降はディーゼル車の販売比率がデリカD:5全体の90%に達した。
ディーゼル車刷新で旧型ガソリン車は僅か1割に
そこで2019年2月に、デリカD:5は4WDのクリーンディーゼル車のみに大幅なマイナーチェンジを実施して、内外装から安全装備まで刷新させた。逆にガソリンエンジン搭載車は、販売比率が約10%と少ないことから、ほとんど変更されず継続生産されてきた。
ガソリンエンジン搭載車で不満を感じたのは、自動ブレーキが装着されないことだ。今はアルトやミライースなど価格を110万円前後に抑えた軽自動車を含めて、歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキを採用するのが当然になった。デリカD:5のガソリンエンジン搭載車は、特に安全面に古さが目立つ。
ガソリンエンジン搭載車を廃止する不都合は、安価なグレードがなくなることだ。
在庫車として売られる2Lガソリンエンジンを搭載した「2WD・Mリミテッドパッケージ」は、左側スライドドアの電動機能など、実用装備を装着して価格は249万4800円に収まる。
デリカD:5は全長が4800mm以下のミニバンでは3列目シートが最も広くて快適だから、多人数乗車時の居住性は、セレナやヴォクシー系3姉妹車を上まわる。この居住性が250万円以下で手に入るのは魅力だが、自動ブレーキも装着されないと販売は難しく生産を終える。
コメント
コメントの使い方