近年、トヨタを筆頭に水素関連技術は、日本がリードしている面もある。しかし、韓国もこの分野では実績を上げていることはご存知だろうか。「World Hydrogen Expo 2025(水素エキスポ2025)」を取材した国沢光宏氏が、ヒョンデの強みとトヨタの限界をコングロマリットの観点で指摘する! 建前としては独占を避け、独立性を重視しようとするのが日本の強みでもあるが、裏目にでることも……?
文/写真:国沢光宏
周辺国に追い抜かれる日本の技術 政府は危機感なし!?
半導体、液晶、太陽光発電パネル、携帯電話、リチウム電池、これらの技術は全て日本が大量生産技術を”発明”し、実用化した。なのに今や中国に抜かれ、決定的な差を付けられてしまっている。残念ながらそんな状況が現在進行形でも起きてる。
次世代クリーンエネルギーの大きな役割を占めると言われる水素関連技術だ。この分野も日本が先行。なのに国はバックアップするどころか、強いブレーキを踏んだまま。
こう書くと「補助金を出したりするなど援助してるのでは?」と思う人もいるだろう。どっこい! MIRAIが発売されてから11年経つのに、厳しい規制を緩める動き無し! 水素を運ぶ事すら規制に阻まれ困難なままだし、MIRAIの搭載されている水素タンクだって耐久性に全く問題ないのに使用期限を15年と決め、見直そうとしない。初代MIRAI、車体に問題なくても15年したら廃棄するしかない。
何気に韓国がスゴイ!? 複合企業としての強み
中国に追いつかれ抜かれてしまうのか? 同じような危機意識を持つのが韓国だったりする。ヒョンデはトヨタとほぼ同じタイミングで燃料電池車の開発に成功。次世代エネルギーの大きな柱として水素を使おうとしているのだった。
ヒョンデの面白さはコングロマリットであること。トヨタの場合、乗用車以外に水素技術を展開しようとしたなら、他の企業と協業しなければならない。トヨタの一存じゃ決まらないワケです。
実際、川崎重工やコマツ、ヤンマー、イワタニなど、パートナー企業とチーム作りをしている。とはいえ基本的に別会社のため、見ている夢は違うかもしれないし、将来性を見切れば止めるかもしれない。
コングロマリットであるヒョンデは違う。ソウル近郊の高陽市で開催された水素エキスポ2025を取材したのだけれど、いろんな意味で驚かされた。水素の生産から運搬、様々なモビリティへの利用まで一つの企業で完結可能なのだ。
燃料電池バスは驚くほどの普及率 水素トラックも実用間近!?
具体的に説明したい。まずバス&トラック。すでに燃料電池の採用を進めており、路線バスで1650台。観光バス950台が走っている。先日、釜山の西にある巨済という日本だと松本市や鳥取市くらいの人口を持つ場所に行ってきたのだけれど、3分の1くらいが燃料電池バスだった(160台)。
観光バスは航続距離950kmというから、長距離路線バスとしても使える。我が国と言えば路線バスで200台に届いていない。観光バス皆無。
トラックなどに使う水素エンジンも開発が進んでいる。写真の大型トラック用エンジンは11リッターの直列6気筒で408馬力。ユーロ6のゼロ二酸化炭素カテゴリーに属す。欧州や豪州、アメリカなど大型トラック用のパワーユニットとして使うことを想定しており、遠からず実用化するそうな。
バスもトラックもトヨタが手がけたい分野ながら、日野自動車すら自由にコントロール出来ないため、なかなか進まない。
【画像ギャラリー】トラクターやフォークリフトも水素でできちゃうの!? バスやトラックだけじゃない! 「World Hydrogen Expo 2025」のヒョンデブースがすごすぎた!!(10枚)画像ギャラリー













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