海外主体のモデルが多すぎる
今や日本専用車というものはごくわずかしか存在しない。合理化、高効率化、さらにグローバル化により、マーケットの存在するところをターゲットに開発が進められるのが一般的だ。
これはどこのメーカーも似たり寄ったりで、日本市場で苦戦している要因となっていて、日本専用の軽自動車が売れるのはある意味当然だ。
ホンダの現行のラインナップを見ると、海外偏重の傾向が顕著だ。
ジェイド、オデッセイは中国マーケットがあったから存在しているし、アコード、インサイト、レジェンド、NSXは北米マーケット、シビック、CR-Vは海外全般、グレイスは東南アジアなどほとんどのモデルが海外主体となっている。
しかも2020年2月にデビューしたアコードは北米では2年間にデビューしているモデルだし、CR-VもSUVブームによりヴェゼルよりも高級SUVが欲しいという人の受け皿として急遽入れた感がある。
この点がRAV4を満を持して日本復活投入したトヨタとは大きな違いだ。
実際にホンダの日本専売車はステップワゴン、フリード、シャトルくらいのものだろう。ただ売れて当たり前の存在であるステップワゴンが、トヨタノア3兄弟、日産セレナに引き離されているのはホンダにとっては大きな誤算かもしれない。
売りやすいクルマにセールスパワーが集中
現在ホンダの新車販売の軽自動車比率が高くなっている理由としてはセールスパワーの問題もあると思う。
ホンダはモデルごとの人気グレードを調査すると、特別仕様車がトップにランクされることが多い。これは真新しさのある特別仕様車にセールスパワーが集中するためだ。日本の自動車メーカーでもホンダはこの傾向が最も強い。
ホンダはプリモ店、クリオ店、ベルノ店がそれぞれの専売車種を販売していたが、2006年3月1日から全店舗全車扱いに変更された(ホンダカーズは同年7月から)。
販売店としては売れるクルマを売りたいと考えるのは当然で、今は売れるN-BOX、N-WGNにセールスパワーが集中しているため、軽自動車の販売比率も上がる。
当然デビューしたてのフィットにも今後さらにセールスパワーは集中し、必死に売りにかかるだろう。となると、今まで以上にそのほかの車種の影が薄くなり売れなくなるのではないか。
ホンダは他メーカーのユーザーを取り込むよりも、自社モデルの喰い合いが多いという特徴もある。N-BOXを買いに来た人が上級モデルを購入するケースよりも、上のクラスのクルマを買いに来た人がN-BOXに流れるケースが多いのも痛いところだろう。
まとめ
ホンダの現状を見てきたが、新車販売における軽自動車比率がどんどん上昇していることにホンダとしても忸怩たる思いに違いない。
その解決策として海外主体のモデルをやめて日本専売車を増やすことは考えられないので、今後もこのやり方で新型車を開発していくだろう。
しかし根本は変えられなくても、日本人向けの仕様を設定したり、できるだけ導入時期のタイムラグをなくす、といった細かなことを積み重ねていくしかないだろう。
それから数少ない日本専売車の魅力アップは必須で、フリードにマイチェンでクロスターを設定したような手法は効果的だろう。
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