大人気ジムニーの納期が再延長!! 海外需要増と新型コロナ禍で納車待ちが1年半に

大人気ジムニーの納期が再延長!! 海外需要増と新型コロナ禍で納車待ちが1年半に

 スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」がデビューしたのは2018年7月。それから約1年半が経過した2020年4月現在もその人気は衰えず、長い納車待ちが続いている。

 1年のうちで最もクルマが売れる3月の決算期も過ぎ、さらにバックオーダーが増えていると思われるが、ここにきて納期待ちがさらに伸びるという情報が入ってきた。

 その大きな要因は、海外市場の情勢と新型コロナ禍だ。増産を発表し、工場をフル稼働させていたスズキには大きな打撃となることは間違いない。一時期は納期が短縮したとされたジムニー/ジムニーシエラの納期が、今後どうなるのか!? 流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、スズキ販売店に取材してお伝えする。

文/遠藤徹
写真/SUZUKI、編集部

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■新型コロナ禍でさらに伸びる! 最新納期は1年2カ月以上

 スズキが2018年7月5日にフルモデルチェンジして発売したラフロード4WD・SUVの「現行ジムニー/ジムニーシエラ」がここに来て、さらに納期が1年以上に再延長状態になっている。

 2019年末あたりに、それまで約1年だった納期は8カ月まで短縮していた。それが2020年春に1年以上と再び延長となったのである。

 この要因は、国内での人気の再燃に加えて、ヨーロッパを中心とした海外からの旺盛な需要、つい最近では新型コロナウイルスの感染拡大の影響でサプライヤーからの部品供給が滞り、組み立てている湖西工場(静岡県)が一時的な稼働停止となるなどが障害となっているからだ。

ヨーロッパで人気が高まっているジムニーシエラ(写真左)。ジムニー(写真右)とシエラはオーバーフェンダーの有無が最も簡単な識別ポイントとなっている
ジムニーの製造工場であり、スズキの主力工場でもある湖西工場(静岡県)。新型コロナウィルスの影響を受けて、4月9日、10日、17日に操業を停止。4月20日~5月1日は停止せずに生産を行うが、その後の計画は未定だ

 ジムニー/ジムニーシエラの2020年1~3月の月販平均台数と前年同期比は、ジムニーが2325台、25.1%減、ジムニーシエラが1193台、17.9%減とどちらも2ケタ台のパーセンテージでのマイナスとなっている。

 これだけ見ると、ひと頃に比べると勢いがなくなり、人気が頭打ち傾向にあるように思える。ところが実際は異なる。海外需要に応えるために生産の多くを海外向けに振り向け、国内分を絞らざるを得なくなっているためである。

 海外向けは軽自動車仕様がないので、全数がジムニーシエラとなっている。であれば、軽自動車のジムニーは国内専用であるから、増産すれば納期が早められるように思える。ところが、実際にはできない状況になっている。

 ジムニーとジムニーシエラの両モデルは、同じ組み立てラインで生産しているのでジムニーだけを増産するわけにはいかないのである。実質的な納期は、ジムニーが1年2カ月程度で、ジムニーシエラは1年半になっており、ジムニーシエラのほうが余計に待たされる状況にある。海外需要がより旺盛ということを示している。

 ジムニーシリーズの強みは、ラダーフレーム構造による悪路走破性のよさである。スズキだけのモデルであるから、独占的に売られており、強気の商売ができる仕組みになっている。

ラダーフレームを採用するジムニー/ジムニーシエラ。機械式副変速機付きのパートタイム4WDと、3リンクリジッドアクスル式サスペンションで過酷な使用環境にも対応。1台でどこへでも行ける性能が、世界でも人気になってる理由だ

 現行モデルで、前モデルの丸みを持たせたエクステリアデザインから歴代モデルで使われた直線的でワイルドな風格を持たせたことで、より人気が高まっている状況にある。このことは、歴代モデル以上に高いリセールバリューを維持できることにも繋がっている。

 今現在、国内向けは月産3500台規模で推移している。1年以上待たされるということはバックオーダーが5万台程度に膨らんでいるということが推定できる。この人気の高さが、さらにリセールバリューを押し上げる役割を果たしているのが実情である。

 ただ、ジムニー/ジムニーシエラの納期再延長は、スズキ自体の流通上の問題もある。80%以上は5万店ともいわれる業販店で売られていることだ。

 人気が高いモデルであれば、メーカーに発注してもすぐ売れるから、ユーザーに肩代わりして購入を申し込んだりする。業販店はメーカーと直接代理店契約を結んでおらず、正規のスズキ店やアリーナ店と協力店契約を結んでいる。

 したがって、ジムニー/ジムニーシエラを購入する受注者のなかには多数の業販店事業者が含まれていると推定される。この分はスズキにとっては、正規の受注台数としてカウントされるケースもあるのが実情である。

次ページは : ■国内への振り分けが不足! 販売現場が明かす実情

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