N-ONE e:の一充電走行距離は295kmだが、同じ電動兄弟のスーパーワンは274km。高性能版なのに航続距離が21km短いのだ。しかし、これは単純な性能低下ではない。スーパーワンは電費と引き換えに、軽EVでは実現できなかったパワーと走りの楽しさを手に入れた。
文:ベストカーWeb編集部/写真:
【画像ギャラリー】ワイドフェンダーがたまらんです!! これぞ令和に甦ったブルドック(5枚)画像ギャラリー21km差はBOOSTモードだけが原因ではない
N-ONE e:とスーパーワンは、同じe-Axleとバッテリーパックを採用する。バッテリー総電力量も同じ29.6kWhだ。それでもWLTCモードの一充電走行距離は、N-ONE e:の295kmに対してスーパーワンが274km。約7.1%短くなった。
交流電力量消費率にも差がある。数値が小さいほど優秀で、N-ONE e:は105Wh/km、スーパーワンは114Wh/km。スーパーワンの電力消費は約8.6%多い計算だ。市街地、郊外、高速道路の各モードでも、それぞれ86、105、133Wh/kmとなり、N-ONE e:の76、96、124Wh/kmを上回る。
ただし、この差を「BOOSTモードのせい」と決めつけるのは早い。ホンダは要因別の内訳を公表していない。スーパーワンは車両重量が1090kgで、1030~1050kgのN-ONE e:より40~60kg重い。タイヤも155/65R14から185/55R15へワイド化され、全幅は1475mmから1575mmへ拡大。重量、転がり抵抗、空気抵抗などの変化が、総合的に電費へ影響したと考えるのが自然だ。
21kmと引き換えに70kWとワイドトレッドを獲得
その代わり、スーパーワンが得たものは強烈だ。N-ONE e:では最高出力を47kWに抑えているが、スーパーワンはBOOSTモードで70kWまで解放。約1.5倍の最高出力により、鋭い加速と高速域での力強い伸びを実現した。
さらにトレッドを40mm拡大し、ワイドタイヤと床下バッテリーによる低重心を組み合わせた。旋回時や高速走行時の安定感、ステアリング操作に対する応答性も大きな収穫だ。仮想7段シフトやアクティブサウンドまで備え、移動そのものを遊びへ変えてしまう。
しかもホンダは、航続距離を伸ばすために大型バッテリーを追加する道を選ばなかった。重量増で軽快感を失わないよう、あえて同じバッテリーパックのまま274kmを確保したのだ。
航続距離最優先ならN-ONE e:が合理的。一方、21kmの差よりも70kWの刺激とワイドトレッドの楽しさに価値を感じるならスーパーワンだ。電費を捨てたのではない。日常で十分な航続距離を残しながら、余った効率を「操る喜び」へ振り分けたのである。
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