フォルクスワーゲンが新型電気自動車(EV)「ID. Tiguan(アイディ・ティグアン)」を世界初公開した。人気SUV「ティグアン」の名を冠し、最大600kmの航続距離や最大2000kgの牽引能力を実現。物理スイッチの復活や助手席ディスプレイなど、使い勝手にもこだわった新型EVの注目ポイントをチェックする。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
人気SUVの名を受け継ぐ新型EV、使いやすさも大幅進化
フォルクスワーゲンの新型EV「ID. Tiguan」が、2026年10月13日に世界初公開された。これまで「ID.4」「ID.5」が担ってきた電動SUVの役割を引き継ぐモデルで、2027年初頭の発売を予定している。
注目は、単にガソリン車を電動化しただけではない点だ。エクステリアからインテリア、操作系に至るまで刷新し、電気自動車ならではの先進性と、日常での扱いやすさを両立させようとしている。
フォルクスワーゲンによれば、従来の「ID.4」と「ID.5」は累計生産台数が95万台を超える。新型ID. Tiguanは、その実績を受け継ぎながら、ブランドの主力EVとして存在感を高める狙いだ。
最大600kmの航続距離と2000kgの牽引能力! 内装も操作性も見直した
新型ID. Tiguanのパワートレインは、出力とバッテリー容量が異なる3仕様を設定する。
航続距離はWLTPモードで最大600km。もっとも、この数値は暫定的な予測値であり、装備や走行条件などによって実際の航続距離は変わる。購入を検討する際は、今後公表される正式な仕様や認証値も確認したいところだ。
牽引能力も見逃せない。58kWh仕様では最大1800kg、77kWh仕様では最大2000kgを確保する。EVというと街乗りや通勤のイメージが強いかもしれないが、トレーラーなどを牽引する用途まで視野に入れた設計となっている。
荷室容量は最大534L。さらに、フロント部分には32Lの収納スペース「フランク」を設けた。充電ケーブルなど、荷室の荷物と分けておきたいアイテムの収納にも便利そうだ。
外観は「Pure Positive」と名付けられた新しいデザイン言語を採用。従来の柔らかなクロスオーバー的な印象から、より力強く存在感のあるSUVスタイルへと進化した。ドアハンドルも、手で引いて操作するクラシックなタイプに変更されている。
先進性を追求する一方で、日常的に触れる部分は直感的に扱えるようにする。そんな設計思想が見えてくる。
運転席まわりでは、10インチのデジタルメーターと15インチのセンターディスプレイに加え、オプションで12インチの助手席ディスプレイを用意する。助手席側の画面には情報やゲームなどを表示でき、プライバシーモードではドライバーから画面が見えないよう配慮されている。
そして、クルマ好きにはたまらない遊び心もある。新開発の「Retro」ディスプレイでは、初代「ゴルフ」や「ゴルフIV」など、フォルクスワーゲンの歴代モデルを画面上のバーチャルガレージに表示できる。ゴルフIVを思わせるブルーとレッドのメーター表示も用意され、最新EVでありながらブランドの歴史を楽しめる仕掛けだ。
操作性の改善も見逃せない。エアコンの基本操作には物理ボタンを配置し、ステアリングホイールもタッチ式ではなく物理ボタンを採用。音量調整などにはセンターコンソールの操作ダイヤルを用いる。
画面の大型化やデジタル化が進む現代のクルマにおいて、走行中に迷わず操作できることは重要だ。先進装備を増やすだけでなく、触って使う部分を見直した点は歓迎したい。
運転支援機能では、アクセルペダルだけで強い減速を行うワンペダルドライビングを標準装備。オプションの「Connected Travel Assist」には、高速道路での車線変更アシストや赤信号での自動停止などが含まれる。ただし、これらの機能には作動条件や制限があり、運転者が車両を制御する責任を負う。
快適装備としては、リラクゼーション機能やベンチレーション機能を備えた電動フロントシート、480Wのハーマンカードン製サウンドシステム、パノラミックサンルーフなどをオプション設定する。対応スマートフォンで施錠・解錠や始動を行える「Digital Key」や、車両から電気製品へ給電する「PowerSocket」も用意される。
気になる価格は、ドイツ市場で4万2695ユーロから。2026年10月13日にドイツおよび欧州の多くの国で先行販売が始まった。一方、日本での発売時期や価格、導入仕様については、今回の発表では明らかにされていない。
現行のガソリン、ディーゼル、ハイブリッド車のティグアンと、電気自動車のID. Tiguanは並行して販売される予定だ。エンジン車の使い勝手を重視するか、それともEVの静粛性や先進機能に魅力を感じるか。ティグアンの選択肢が広がることは、SUVファンにとっても興味深い展開といえる。
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