GRの試乗時にプロレーサーが直接車を解説する施策も!
ネッツトヨタ東京は、他店以上にモータースポーツ活動に力を入れる“ちょっと変わった”店舗だ。
『ユーザーと店舗とモータースポーツをつなぐ』という方針のもと、2012年にAREA 86がオープンして以来、2013年にヴィッツレース、2016年にはスーパーGTチャンピオンの脇阪寿一氏を擁して86レースなどディーラーとしてレースに参戦。それだけでなく、イベントでレーサーを店舗に招き、安全運転等のレクチャーなどもおこなってきた。
では、GRガレージができたことでどう変わるのか?
「レースでやったことを、どうやって車を売ることに繋げていくかを重点にやっていきたい」。
その方針のもとに、これまでおこなってきたイベントや走行会等と併せて、GRシリーズの試乗時に、その走行性能のよさを、レーシングドライバーが直接ユーザーに説明する取り組みも始めるという。
ヴィッツGRMNは脇阪寿一を「アホちゃうか」と唸らせたじゃじゃ馬
さて、冒頭で触れたように、そんなGRガレージでしか扱わない車が、ヴィッツGRMNだ。開発に携わった脇阪寿一氏は、そのプロトタイプに乗った後、開口一番漏らしたのが『アホちゃうか』というひと言だったという。
「車から降りて設計の人に言った言葉が『アホちゃうか』。こんなじゃじゃ馬な車、(いい意味で)トヨタが作る車じゃないやろと」
「アクセル踏んだら、ガツーンとアンダーステアが出るほどパワーがある。でも、その感覚が楽しくて。その“じゃじゃ馬”をどう乗りこなせるかと5、6周無心で乗り続けた。それって(この車の)魅力なんじゃないのと」
なぜ、こんな尖った車になったのか? 開発担当者は、脇阪氏に「我々はこれまでのトヨタの壁をぶち破るために、こういう車に仕上げてみました」と、明かしたという。
そして、脇阪氏は開発陣に“あるお願い”をしたという。
「これからこの車を煮詰めていく段階で、じゃじゃ馬じゃない方向にしていくでしょ? (アクセルを)踏んだら出るアンダーステアが、乗っている人に不安を与えながらも、それがワクワク感に変わる。これまで名車とされてきた車が、(優等生的に)きちっとしていたかと言ったらそうじゃないでしょ?」
「だから、そのワクワク感をどうか消さないでと。ただ、そこが気になるユーザーには、きっちりタイヤをグリップさせるためのアフターパーツを用意して、『これを付けて下さい』という形にしておかないと。最初から付けるのではなくてね」
プロのレーシングドライバーが全開にしても、ビクともしないセッティングにしたら、そこまでアクセルを踏まない一般ユーザーにとっては尖った魅力が消えてしまう……。
こうした脇阪氏と開発陣のやりとりを経て、完成したのが新型のヴィッツGRMNなのだ。
スープラも、セリカも、MR2も、尖った魅力を備えていたがゆえに、多くの車ファンを惹きつけ、今もなお記憶に残る名車になった。
いい意味で、じゃじゃ馬さを残したヴィッツGRMNと、その車を扱うGRガレージ。トヨタの車作りが、今までよりちょっと面白い方向に舵を切ろうとしている!
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