日産が2020年6月24日発表、30日から発売した新型コンパクトSUVの「キックス」。日産で最後に登場した新型車が「リーフ」で、デビューしたのが2017年10月だから、実に2年8カ月ぶりとなるのだ。
発表から1カ月の2020年7月末の時点で、1万台を超える受注を抱えた注目車「キックス」に国沢光宏氏が試乗。ライバルと比較しながら、その走りなどを徹底解剖していく!
※本稿は2020年8月のものです
文/国沢光宏
写真/中里慎一郎
初出:『ベストカー』 2020年9月10日号
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やはり人気はSUVということなんだろう。新型コロナ禍のなか、ニューモデルが続々と登場している。いずれも人気上々。
今回試乗した日産「キックス」も、すでに1万台を超える受注があり、年内納車は難しい状況とのこと。収益を考えたら増産したいところながら、タイ工場製のうえ、いろんな国から部品を調達しているためすぐに増産ということも難しいそうな。逆に考えると今からオーダーしたらラインが安定した頃の生産になるので安心して買える?
実車チェック&試乗といきましょう。まずタイ工場製ということで気になるクォリティだけれど、結論から書くと「シートの質感のみ、少し日本製より落ちるかもしれませんね」といった程度。
シートはサイドサポートのスポンジ感や、生地、縫製など含め、難しい表現ながら、バンコクのスワンナプーム空港で「おっ! 新車のアルティス(タイで販売されているカローラセダン)だ!」と喜んで乗ったタクシーと同じ日本車の雰囲気を持つ。実車で確認を!
インテリアボリュームは必要にして充分! 車格からすればトヨタ「ヤリスクロス」と同じBセグメントながら、キックスの場合、新興国仕様のBセグ。欧州などのBセグは2人乗車を基本と考えているが、新興国になると完全なファミリーカーユースです。したがって充分なスペースのリアシート+ラゲッジスペースを持つ。リアシートの居住性を重視するなら、新興国Bセグの「キックス」やホンダ「ヴェゼル」を選ぶべき。
起動ボタン押す。普通のハイブリッド車と同じくエンジンはかからない。Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと、モーターで発進。タイヤが3〜4転がりしたあと、エンジンがかかる。ここからはエンジンで発電した電力を使って走ります。
追い越しなどでアクセル強く踏むと、電池から引き出す電力+エンジンで発電した電力の両方を使う。その時に発生する最高出力は129ps。BセグとしてはTOPクラスのパワーである。
実際、アクセル全開加速してみたら、なかなかパワフル。日本のようにアベレージ速度の低い交通環境だと走行用電池を使い果たすこともないだろうから(走行用電池の残量によって異なるがアクセル全開だと129ps出るのは1〜2分だと思う)、ヤリスクロスのハイブリッドや、116psのディーゼルを搭載するマツダ「CX-3」より元気! スペックで優位なヴェゼルはアクセルレスポンスが厳しい。キックス楽しいです。
また、同じBセグに属す日産「ノート」のe-POWERと比べエンジン音が明らかに静か。おそらく遮音をキッチリ行っているんだと思う。ノートだとエンジンがかかった瞬間、静かなモーター走行モードとの違いに「あらま!」と感じるが、キックスは違和感なし。
このあたり、エンジンがかかった時の静粛性を向上させた新世代のハイブリッドを採用してきたヤリスクロスと似てます。街中から高速走行まで快適な走りを楽しめる。
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