ついに2020年9月1日から発売が開始されたトヨタ「ヤリスクロス」。登場前から話題を集めたトヨタの自信作だが、ライバルひしめく「コンパクトSUV」という激戦区に殴り込んだ注目モデルのスタートダッシュはどうなっているのか!?
気になる最新の受注状況(人気グレード、駆動方式など)や、購入を検討している人が気になる最新の値引きや納期情報を、現場取材をもとに一挙お届けする。
文/遠藤徹
写真/TOYOTA、編集部
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■滑り出しは好調! 気になる納期は3カ月待ちから
トヨタの新型コンパクトSUVである「ヤリスクロス」が2020年8月31日発表、9月1日から発売開始している。
7月末には価格を決めて事前予約をスタートさせた。月販目標を4100台に設定したのに対して、9月上旬現在の納期は3カ月待ちの12月上旬となっている。推定受注累計は1万5000台であり、9月末までには3万台を突破する見通しである。
首都圏にある扱い店各社の営業担当者によると「滑り出しのお客さんの反応はヤリスを上回る勢いを感じる。生産が軌道に乗れば当初のピーク時には月販1万台突破は確実の状況にある」と一様にコメントしている。
売れ筋は70%程度が最上級グレードの「Z」で、25%が中間の「G」、標準の「X」は5%となっている。駆動方式だと80%がFF、4WDは20%だが、地域によるばらつきがある。約60%がハイブリッドで占めている。
ボディカラーは、モノトーンだとホワイトパールクリスタルシャイン、シルバーメタリック、ブラックマイカの3色に人気が集中しているが、センシュアルレッドマイカや訴求カラーのプラスゴールドメタリックも人気3色に次いで目立つ。ツートーンは20%程度にとどまっており、納期はモノトーンより2週間程度余計に待たされる。
9月上旬現在でまだ実車はまだ十分にデリバリーされておらず、簡易パンフレットとパソコン画面による説明だけで売れている状況だから、実際に試乗車やデモカーが展示されるようになれば、受注ピッチにさらに加速がつくのは必至の情勢となっている。
9月26日、27日の両日には、扱う全国トヨタ系列店の展示発表会を開催し、これを起点に本格的な増販攻勢をかける構えである。
新型ヤリスクロスは、車両本体価格が179万8000~281万5000円で、トヨタのコンパクトSUVでは「ライズ」の167万9000~228万2200円、「C-HR」の236万7000~309万5000円のほぼ中間に設定している。
グレードによってはかなり重なる部分もあるので、一部は食い合い、ライズとC-HRの販売が頭打ちになる可能性もある。ライズはダイハツからのOEM供給車であり、ヤリスクロスはトヨタのオリジナルモデルであるから、ユーザーが両モデルのチョイスで迷った場合は、リセールバリューで優位なヤリスクロスのほうを勧めるケースが生じることになる傾向が強まるかも知れない。
現在のところは、ヤリスクロスに代替えするユーザーは20代から40代までの比較的若い層で男性が多いが女性も目立つ。車種は軽自動車、コンパクトハッチ、同クラスSUV、コンパクトミニバンなどでコンパクトクラスからの乗り換えはトヨタ車が70%程度を占める。
系列店別の動向だと、これまでコンパクトクラスを多く扱って来たネッツ店とカローラ店がほかの2系列店よりも多数の代替え母体を抱えていることもあり、受注実績は高い傾向がある。
小型車や高級車主力のトヨタ店、トヨペット店は家族のセカンドカー、サードカーとして選ぶ傾向もある。ファーストカーはハイブリッド、セカンドカー、サードカーはガソリン車といった、ユーザーが分けられている印象もある。
対抗するライバル車としては他銘柄だと日産「キックス」を筆頭に、ホンダ「ヴェゼル」、マツダ「CX-3」、スバル「XV」などが上げられる。なかでも「キックス」は発売後間もない人気モデルであるから、お互いが強く意識しており、競合するケースは多い。
ただどちらもバックオーダーを多数抱え、強気の商売をしているから、商品性の高さを強調して競い合い、値引き競争に走るようなケースはまだそれほど多く発生していないのが現状である。
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