ミニバンとしての快適性にも優れている
そしてデリカD:5は、多人数乗車時の居住性も優れている。
3列目シートのスライド位置を後端まで寄せると、各座席の足元に十分な空間を確保できる。身長170cmの大人が多人数で乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、3列目には握りコブシ2つ半の余裕ができる。
居住性はセレナやヴォクシーを上まわり、全長が4800mm以下のミニバンでは、デリカD:5が最も快適だ。
従って多人数で乗車して、長距離を移動する用途にも適する。多人数で乗車するとエンジンに大きな負担が生じるが、ディーゼルは実用回転域の駆動力が高いから登坂路でも不満を感じにくい。
燃費効率も優れているから、長距離を移動しても燃料代はさほど気にならない。
悪路走破力が高いので、長距離ドライブの途中で天候が悪化しても、不安を感じにくい。
数年後の売却が高値安定だから安心
このようにデリカD:5は、外観が個性的で走破力も高めながら、一般的なミニバンとしての使い勝手や経済性も優れている。
そのためにデリカD:5には熱心なファンが多く、中古車市場での人気も高い。購入して数年後の売却額も高値安定型だ。
デリカD:5の残価設定ローンの3年後の残価率(新車価格に占める残存価値の割合)は55%と高い。一般的には3年後であれば45%前後の車種が多いので、デリカD:5なら高い金額で売却できる。
ということで残価設定ローンを使うユーザーにも有利だ。数年後の残価を除いた金額を返済するので、残価が高ければ、月々の返済額を安く抑えられる。
このように高値で売却できることから、デリカD:5を何台も乗り継ぐユーザーも多い。購入した3~5年後に、高い金額で手放せると、改めて新車を購入したくなる。
そのためにデリカD:5は、発売から10年以上を経過する割に売れ行きが堅調だ。
2020年度上半期(2020年4~9月)の登録台数は、コロナ禍の影響もあって600台少々だが、2019年(暦年)の1カ月平均は約1700台に達した。前述のとおり高値で売却できることもあり、好調な売れ行きが保たれている。
どのグレードの買い得感が高いのか?
デリカD:5のグレード構成は、標準ボディと、シンプルな形状のメッキグリルを装着したアーバンギアに大別される。
エンジンは2.2Lクリーンディーゼルターボのみで、駆動方式も4WDに限られる。
全長が4800mm、全幅は1795mmのボディサイズ、最低地上高の185mmなどは、標準ボディ、アーバンギアともに共通だ。従って両タイプの違いは、フロントマスクや外観の装備になる。
最も推奨度の高いグレードは、両タイプともにGパワーパッケージだ。価格は標準ボディが423万5000円、アーバンギアは436万2600円だから、後者が12万7600円高い。
アーバンギアはフロントグリルなどのデザインが異なり、ボディサイドやバンパーにはエアロ形状のパーツも装着されるから、価格も上乗せされた。
価格差の12万7600円は妥当だ。標準ボディとアーバンギアの選択は、好みに応じて行えばいい。
Gパワーパッケージの価格は、アーバンギアも含めて、Gに比べると22万円高い。
この価格差で、電動テールゲート、乗降性を向上させる電動サイドステップ、Gに5万5000円でオプション設定される運転席パワーシートと運転席&助手席シートヒーターが加わる。
プラスされる装備と価格のバランスは取れているが、Gパワーパッケージが特に割安というわけではない。
そこで標準ボディでは、電動サイドステップに非装着のレスオプションも用意した。
非装着なら価格が7万7000円安くなり、電動テールゲート+運転席パワーシート+運転席&助手席シートヒーターを14万3000円で装着できる。アーバンギアにも、同様のレスオプションを設定してほしい。
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