最新のオモロガータ発表!! ワンオフフェラーリの愉悦とその裏にある戦略

フェラーリの顧客囲い込み戦略

 ちなみに、フェラーリの市販車プログラムとしては、ワンオフの下にほとんどワンオフというべき「フォーリ・セリエ」(10台くらいの限定オーダーモデルで内外装も特別デザイン)、スペシャルオーダーの「テーラーメード」(シリーズモデルがベース)、セミオーダーの「アトリエ」といったプログラムが用意されている。

アイコナは1950年代のレーシングカーの美しさを現代の技術で再現したモデルで、その第1弾としてモンツァSP1(右)とモンツァSP2(左)が発表された
アイコナは1950年代のレーシングカーの美しさを現代の技術で再現したモデルで、その第1弾としてモンツァSP1(右)とモンツァSP2(左)が発表された

 さらに限定生産の「スペチアーレ」や「アイコナ」もあって、そのうえレギュラーシリーズの「GT」(ローマやポルトフィーノなど)や「スポーツ」(F8や812など)、今後はSUVもあるわけだから、フラヴィオ率いるフェラーリのインハウスデザインチームはさぞかし大忙しなことだろう。

 そしてこれは、他のすべての高級ブランドが追随する(したい)顧客囲い込み戦略でもあった。

 フェラーリの囲い込み戦略にはもうひとつ、F1クリエンテやFXXプログラムといったお得意のレーシング系もあって、そちらのほうが実はマラネッロにとっては“重い”わけだが、今回はこれ以上、触れない。

 とにかく市販プログラムの中での頂点がマラネッロにワンオフモデルをオーダーできること、だと理解してもらえればいい。

公道を走れないサーキット専用車であるFXXプログラムはフェラーリにとって最重要なモデルのひとつ。写真は2014年に登場したFXX K
公道を走れないサーキット専用車であるFXXプログラムはフェラーリにとって最重要なモデルのひとつ。写真は2014年に登場したFXX K

オモロガータは最新のワンオフモデル

オールアルミのハンドクラフトにより250GTOのデザインをモチーフとしている。完成までに2年かかったと言われている。価格は未公表
オールアルミのハンドクラフトにより250GTOのデザインをモチーフとしている。完成までに2年かかったと言われている。価格は未公表

 そんなワンオフプログラムの最新モデルが、9月に発表された「オモロガータ」である。

 その名の由来はかのGTOのO、つまりはホモロゲーションを意味する。往年のホモロゲーションモデルのデザインを現代的に再構築し、ベースとなった812スーパーファストに併せて実現した。

 ボディパネルはハンドクラフトのアルミニウム製である。ロードカーゆえレギュレーション変更を回避するためにフロントスクリーンとヘッドライトは変更されていない。これもまたワンオフモデルの特徴だ。

オークションで高騰して話題の250GTOは、Gran Turismo Omolodatoの略で、レース参戦に必要なホモロゲーションを取得していることを示している
オークションで高騰して話題の250GTOは、Gran Turismo Omolodatoの略で、レース参戦に必要なホモロゲーションを取得していることを示している

 エクステリアよりもインテリアに往年のサンデーレーシングカーの雰囲気が色濃く漂っている。

 ダッシュボードやステアリングホイールには結晶塗装風に、インナードアハンドルやF1ブリッジにはハンマー塗装が施された。いずれも1950、1960年代の250系レーシングモデルに特徴的なペイントだ。

 今回のワンオフモデルは、どちらかというとテーマ重視なのだろう。

 オーナーはおそらく、250GTOあたりで実際にサーキットを攻めるようなアグレッシブな人物ではないか。それゆえエクステリアはさほど派手では なく、それよりもブルーのシート生地や結晶塗装風などに拘った。

 近い将来、どこかのサーキットで走る勇姿を見ることができるかも知れない。

オモロガータのインテリアは結晶塗装が使われているが、これは250GTO、250LMなどで使われた手法で、オーナーのこだわりを感じさせる
オモロガータのインテリアは結晶塗装が使われているが、これは250GTO、250LMなどで使われた手法で、オーナーのこだわりを感じさせる
丸1灯のシングルテールランプを採用したことにより精悍さが増している。リアウィンドウのルーバーもクラシカルなイメージに仕上げられている
丸1灯のシングルテールランプを採用したことにより精悍さが増している。リアウィンドウのルーバーもクラシカルなイメージに仕上げられている

【画像ギャラリー】手にできるのは世界中で唯一人 フェラーリ最新ワンオフモデルのオモロガータのため息がでるような内外装

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