■国内市場ではディーゼルからPHEVにシフトが本格化
新型エクリプスクロスの発表で注目された点がある。それは2019年に投入したクリーンディーゼルモデルの廃止だ。そのまま行けば、ガソリン、ディーゼル、PHEVという3つのパワートレーンを揃えることができたはずだが、なぜディーゼルモデルは廃止になったのか!? その答えもわかった。
長岡Co-COO「ディーゼルに関しては正直悩みました。もともと環境対応でクリーンディーゼルを登場させましたが、環境へのやさしさという部分を考えるとクリーンディーゼルとPHEVは重なる部分があった。また、ディーゼルの魅力はトルクでしたが、PHEVもしっかりとトルクを出すことができているので、同じような商品を2つ持つよりは、販売をしっかりできることを重要視したためクリーンディーゼルモデルは廃止するという決定に至りました」
「クリーンディーゼルは今後、乗用車用にディーゼルエンジンを開発するというよりは、PHEVに置き換えていくことになります。一方でアセアンもしくはオセアニアで、フレームベースのトラックなどのSUVを製造していますが、そういったモデルは根強くディーゼルの要求があるため、新しいエンジンを起してでもしっかり対応していきたいと考えています」
「ただ、そういった国でも燃費規制などが厳しくなっていった場合、電動化の必要性ですが、予想としては2025年以降にはそういった雰囲気になっていくと考えています。そうした場合、ディーゼルにモーターを付けて電動化するのか、保有しているPHEVシステムをフレーム車用に改良することで対応することも考えています」
と、クリーンディーゼルエンジンの今後について明かされた。
今後国内市場においては、クリーンディーゼルを搭載した新モデルが登場することはなさそうだ。
■EVはアライアンスで共同開発! バッテリー問題は課題あり
加藤CEOによると、EVに関してはいまだにバッテリーというものが高額で、全世界の自動車会社のなかで本当に利益が出ている会社というのはほとんどないという。テスラが利益が多少出ているかな……という状態で、そういう意味では、大きな利益の望めないEV開発を単独でやることは現実的ではないと考えているそうだ。
そのため日産と共同開発して軽EVを今度投入するのだが、当面は日産もしくはアライアンスを活用して開発していくことのほうが現実的であるとしている。
またEVにおいて欠かすことのできない重要な部品である電池については、思った以上に難しい課題を抱えていることを長岡Co-COOが明かした。
「バッテリーの進化についてはリチウムイオン電池から全個体電池に移っていくことで、安全性やコストが大きく下がりEVが普及していくだろうというのが数年前の見立てでした」
「その時に言われていたのが、2020年過ぎくらいには全個体電池が実用化されて、kWhあたり100ドルを切って一気に加速するだろうということです。ところが、自動車を動かすことのできる全個体電池の開発は計画通りには進んでいないのが現実です。今後5年では足りないのでは? と三菱自動車では見ています。2030年頃まで行けば、一部で全個体電池が実用化されるとは思います……」
そのためリチウムイオン電池を高性能化する研究もされているが、もともと中国でやっていたリン酸鉄を使用した電池についても回帰する動きがあるという。パワーは足りないが、安全性が高いので、そういう電池で全個体電池が実用化されるまでしのごうという動きがあるそうだ。
長岡Co-COO「ライフサイクルバランスのことを考えると、発電や電池を作ったり、クルマを作ったりするときに発生する二酸化炭素の量を考慮した場合、化石燃料で発電している国ではPHEVのほうがEVよりもはるかには出量が少なくなる。そうことによって、三菱としてはPHEVは重要な技術であると認識し、より高めていくことを考えています」
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