■マツダのエンジニア魂がほとばしる珠玉の1台
FD3S型RX-7はマイナーチェンジのたびに進化を続けている。
1995年春にリアスポイラーのデザインを変更し、大径のブレーキを採用した「タイプRZ」も加わった。1996年1月にはエンジンにメスを入れ、最高出力を265psにパワーアップしている。そして1998年12月にはついに自主規制枠いっぱいの280psに達し、最大トルクも32.0kgmに引き上げられた。
シャーシを強化したファイナルバージョンが送り出されたのは2000年12月だ。
人馬一体のシャープな動きとニュートラルなハンドリングを身につけた3代目のFD3S型RX-7は操る愉しさに満ちている。だが、2002年8月、排ガス規制への対応が難しいと判断し、RX-7の生産は終了した。
代わって登場したのが、自然吸気のロータリーエンジンを積むRX-8だった。こちらも魅力的だったが、ターボで武装したFD3S型ほど刺激的ではなかった。いま振り返ってみると、FD3S RX-7が成立していたこと自体が奇跡的な出来事であり、この先ももうあんなクルマが量産型として普通に街のディーラーで購入でき、整備される時代は来ないのかもしれない。
マツダのエンジニア魂がほとばしる珠玉の作品であり、数々の奇跡を生んだRX-7がFD3S型である。他のメーカーにはできない、直球勝負のピュアスポーツカーだった。
難しいのは重々承知で、無理を言っているのは分かったうえで、「あの走り味」が脳に刻み込まれていて忘れられないファンのために、もう一度復活させて奇跡を起こしてほしいと願ってしまう。
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