FD3SマツダRX-7 奇跡の名車の足跡をたどる

■ル・マン総合優勝の年にFD3S型RX-7が誕生

第59回ル・マン24時間レース(1991年)で総合優勝を果たしたマツダ787B
第59回ル・マン24時間レース(1991年)で総合優勝を果たしたマツダ787B
1991年10月発売のアンフィニRX-7。RX-7特有のロングノーズ&ショートデッキスタイルは今も全く色あせていない
1991年10月発売のアンフィニRX-7。RX-7特有のロングノーズ&ショートデッキスタイルは今も全く色あせていない

 1991年6月23日、4ローターのレーシングロータリーを積むマツダ787Bがル・マン24時間レースで優勝を飾っている。

 日本の自動車メーカーとしては初の快挙だ。

 この偉業から4カ月後の同年10月、3代目のFD3S RX-7がセンセーショナルなデビューを遂げている。アンフィニ・チャンネルのイメージリーダーとなる高性能スポーツクーペとして企画され、マツダの技術の粋を集めて開発された。設計コンセプトは「REベスト・ピュアスポーツ」と名付けられた。

 零戦の設計思想を参考に、ボディからシャシーまでグラム単位で軽量化に挑む「コンマゼロ作戦」を実行し、量産車として世界トップレベルのパワーウエイト・レシオを狙っている。そのために試作から肉抜きに力を入れ、6度の軽量化を行った。最終的には100kgもの軽量化を達成し、もっとも軽いグレードのRX-7の車重は1250kgに抑えられている。

 それでいてボディやシャシーの剛性も高かった。

 ボディとホイールベースは2代目より短くされ、全高と重心も低く抑えている。逆に全幅とトレッドは広げられ、地を這うようなルックスとなった。曲面を基調としたキュートなフォルムが特徴で、心ときめくデザインだ。RX-7のアイコンとなっているリトラクタブル式ヘッドライトを受け継いでいるが、全てが新鮮と感じられる。今も色あせない、抑揚の強いフォルムは、のちのコルベットなどにも影響を与えた。

■熟成を重ねたFD3Sのロータリーエンジン

255psでスタートした13B-REW型エンジンは、4型で265psに、5型で280psにパワーアップ
255psでスタートした13B-REW型エンジンは、4型で265psに、5型で280psにパワーアップ

 注目のパワーユニットは、大きく進化させた2ローター・ロータリーの13B-REW型だ。単室容積654ccの2ローターで、これに低回転時は1基だけ、高回転時は2基稼動させるシーケンシャルツインターボを装着している。

 最高出力は255ps/6500rpm、最大トルクは30.0kgm/5000rp。全域にわたって高効率の過給を行い、滑らかで力強い加速を実現していた。パワーウエイトレシオは4.9kg/psと、当時としては世界トップレベルにあった。トランスミッションはクロスレシオの5速MTと電子制御4速ATを設定する。

 サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架だった。アーム類やリンクにはアルミ材を使用し、高い剛性を確保しながら軽量化を図っている。ロータリーエンジンをフロントミッドシップに搭載し、軽量で重心も低いからシャープなハンドリングを披露した。

 クルマはステアリングを切った通りに正確に向きを変える。限界は驚くほど高く、攻めの走りが似合うスポーツクーペだった。運転席に座った瞬間から「もっと速く走れ」とドライバーを急かせる。そんなクルマだった。

 無駄な動きのないシャープな走りが「FD」の最大の持ち味だった。ヒール&トゥを駆使して最適なギアを選び、ブレーキングもほどほどにステアリングを切り込んでコーナーを駆け抜ける。スムーズな走りよりもリズムに乗ったダイナミックな走りが似合っているのだ。

 だが、初期モデルと中期モデルは限界付近の挙動がピーキーで、油断すると一気に挙動が乱れる。乗りこなすには繊細なテクニックと大胆さが要求されるが、これが魅力のひとつでもあった。

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