ホンダヴェゼルは強敵トヨタSUV軍団を超えられるのか

ホンダヴェゼルは強敵トヨタSUV軍団を超えられるのか

 発売から1カ月後、月間販売計画より6倍以上もの受注を記録したホンダの新型ヴェゼル。出足好調な売れゆきだ!

 ヴェゼルは、もともと先代モデルで2014年から2016年にSUVの年間販売1位を獲得するほどの人気モデル。近年はトヨタの新型SUVに首位の座を奪われているが、新型でヴェゼルはSUVナンバーワンの座を奪還することはできるのか? 

 そのためには、新型ヴェゼルの前に立ちはだかるトヨタSUV軍団を超えられるのか? がカギになるわけだが……。トヨタのSUVに勝てるのか? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が分析する。

文/渡辺陽一郎  
写真/HONDA、TOYOTA、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】新型ヴェゼルとそのライバル達を確認!


■ヴェゼルは「売れ筋のホンダ車」では最上級モデル

ヴェゼル e:HEV PLaY。ホンダコンパクト軍団のリーダー的な存在で、売れ筋のホンダ車では最上級モデルに位置付けられる
ヴェゼル e:HEV PLaY。ホンダコンパクト軍団のリーダー的な存在で、売れ筋のホンダ車では最上級モデルに位置付けられる

 ホンダのコンパクトSUV、ヴェゼルの売れゆきが好調だ。2021年4月23日に発売され、その後の約1カ月間で3万2000台を受注した。1カ月の販売計画は5000台だから、ホンダでは「目標の6倍以上」と誇っている。

 その代わり納期も長い。販売店では「2021年6月中旬に注文した場合、売れ筋のe:HEV・Zの納車は11~12月、e:HEV・PLaYになると2022年(来年)の6月頃になる。ホンダは納期の短縮に力を入れる予定だが、短くできても1カ月程度が限界だろう」という。

ヴェゼル売れ筋グレードのe:HEV・Z。現在の納期は注文から半年近く掛かるという
ヴェゼル売れ筋グレードのe:HEV・Z。現在の納期は注文から半年近く掛かるという

 注文した顧客を半年から1年も待たせながら、「受注台数が月間販売計画の6倍以上」と公表するのは、顧客に対して失礼だ。今は各メーカーとも「受注台数」を宣伝するが、本当に自慢できるのは、納車を伴う「登録(軽自動車は届け出)台数」になる。

 またヴェゼルが好調に売られるのは、現行型に始まったことではない。2013年に発売された先代(初代)ヴェゼルも、発売後1カ月で3万3000台を受注している。現行型よりも少し多かった。

先代型ヴェゼル。発売後1カ月で3万3000台を受注して良好な滑り出しを見せた
先代型ヴェゼル。発売後1カ月で3万3000台を受注して良好な滑り出しを見せた

 この後も先代ヴェゼルは好調に売られ、2014年から2016年には、SUVの国内新車販売1位となった。2017年と2018年は1位をC-HRに譲ったが、2019年にはモデル末期ながらも1位に返り咲いた。

C-HRはヴェゼルと近いシティ派コンセプトで発表され、2017年と2018年はSUVの国内新車販売1位となった
C-HRはヴェゼルと近いシティ派コンセプトで発表され、2017年と2018年はSUVの国内新車販売1位となった

 これだけ先代ヴェゼルが好調に売れていると保有台数も多い。先代型から現行型への乗り替え需要も生じるから、今後も好調に売れて当然だ。

 特に今のホンダの国内販売は、N-BOXを筆頭に軽自動車が増えた。2020年度(2020年4月から2021年3月)の販売動向を見ると、国内で売られたホンダ車の54%が軽自動車だ。そこにコンパクトカーのフィット、コンパクトミニバンのフリードを加えると80%を超えてしまう。

 この売られ方では、国内におけるホンダの印象も変わり、スズキやダイハツのような「小さなクルマのメーカー」になっていく。ヴェゼルのエンジンはe:HEVを含めて1.5Lだから、この新しいホンダのブランドイメージにも合っている。

 つまりヴェゼルは、フィット、フリード、Nシリーズといったホンダコンパクト軍団のリーダー的な存在で、売れ筋のホンダ車では最上級モデルに位置付けられる。この意味でも好調に売れて当然だ。

次ページは : ■今後の売れゆきを占う

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