■隊員の努力でボディ内外は抜群のコンディション
実際に取材した実車のコンディションは非常に良好で、ボディはもちろんのこと、前後の各種の灯火類、アルミホイールなど、細部にわたって新車のような状態が維持されていた。またエンジンルームもキレイな状態だった。これは交通機動隊で運用されているほかの車両も同様であった。
覆面パトカーの装備品である反転式警光灯の動作は問題なかったが、前面警光灯は経年劣化のためか点滅具合が少し弱い印象を受けた。近年ではLEDタイプの前面警光灯が主流となっている中、すっかり見なくなってしまった装備品である。
さて、車内を見てみよう。ルーフ中央部には反転式警光灯が鎮座しており、やや圧迫感はあるが、車内空間確保に支障のない配置がされていた。また、前後のシートには、警察車両には必須のシートカバーが装着されていた。
車内外から大切にされた様子がうかがえるいっぽうで、警察車両らしい古傷も。警察官は、警棒や手錠ケースなど腰回りの装備が欠かせない。これらは乗降するたびにシートを痛めるとあって、マークIIには、パトカーに特有のシート破れが確認できた。
■マークIIパトカーからマークXパトカーへ
ところで、マークIIパトカーには、静岡県警の交通機動隊で運用されていた90系後期マークIIツアラーVの覆面パトカーもあった。90年代後半に県費で導入されたもので、TLアンテナや反転式警光灯などを装備していた。シルバーボディのその見た目から秘匿性が高かったが、県内を走るドライバーや特に走り屋には有名な存在であったという。
それから月日は流れ、2010年代に入ると、130系マークXが国費で高速隊に配備されている。こちらは導入台数が多く、全国でその姿を目撃することができた。また、警視庁では、2016年ごろより都費でモデリスタ架装のマークX+Mスーパーチャージャーが順次導入された。合計15台が現在も高速隊や交通機動隊で活躍している。導入当初はその見た目から覆面パトカーとは想像できない車種選定にクルマファンやパトカーマニアから驚きの声が上がり、連日SNSなどを沸かせた。
2019年にマークXが生産終了し、マークIIから数えて51年の歴史に幕が下ろされた。交通用、捜査用覆面パトカーとして歴代モデルが様々な形で導入されてきた中で、今回紹介した宮崎県警察交通機動隊のマークIIは特別な一台だったといえる。宮崎県警察交通部の公式ツイッターにも勇退報告がされたほどで、隊員らから特別な存在であったことがわかる。
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