京王電鉄バスは、東京都が公募した「令和3年度西新宿エリアにおける自動運転移動サービス実現に向けた5Gを活用したサービスモデルの構築に関するプロジェクト」のプロジェクト実施者として採択され、西新宿エリアにおいて路線バスを用いた自動運転の実証実験を行っている。実際に乗車してみたのでレポートする。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:小野寺利右
目的や課題はさまざま
同社ではトンネルや半地下、高層ビル群など自動運転での走行には過酷な環境下で、5Gを活用し新たなシステム開発等による自動運転の実証運行を行うことで、本格運行に向けた技術面・運用面での検証を図る。
さらに、今後の「少子高齢化・コロナ禍での生活様式の変容によるお客様の減少」や「乗務員不足」または「輸送サービスの多様化」等のバス事業が抱える諸課題の解決に向けた検討をすすめる考えだ。
車両は日野ポンチョを使用し、前後左右のあらゆる場所にセンサーやカメラやレーダーが取り付けられ、現代のバス版建築限界測定車のような様子だ。GPSやこれらセンサーからの情報と、詳細な地図情報を照らし合わせて自動運転を実施するのだが、それらの情報は5G通信網を介して遠隔監視にも活用されている。
もちろん公道の交通は鉄道とは違い刻一刻と変化するので、道路の白線や縁石を認識する技術はもちろんのことだが、路駐している車両や横断する人間を検知し、バスを制御しなければならないところに難しさがある。
運行経路はCH01と同じ
本実証実験の運行ルートは京王バス・都営バス共同運行のCH01系統とまったく同じだ。すなわち新宿駅西口(地下)から都庁を循環して新宿駅に戻るルートだ。
このルート上にはトンネルや閉鎖空間があり、GPS電波を補足できない場所が多くある。そこは地図と実際のセンサーから入る道路状況をマッチングさせて運転する。
乗客となれるのは専用のLINEアカウントで顔認証用の情報を登録した人だ。運賃は無料なので、あらかじめ写真を送っておけば自分の顔は登録されており、乗車の際に顔認証を完了させて乗車できる。
有償運行の際には何らかの手段であらかじめ運賃を支払うか、登録した決済手段等で顔認証完了時に決済するか、そういった非接触式の運賃収受方法につなげたい考えだろう。
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