倉庫はほぼ自動化されている
実証実験は鴻池運輸の主に飲料製品を扱う配送センターで開始する。倉庫の搬送コンベヤーからパレット積みされた荷物をAGFが直接取り出し、トラックの荷台への積み込みまでを自律的に行なう。
鴻池運輸によると、今回実証実験を行なう配送センターは約6万棚を有する自動倉庫で、トラックへの荷積み・荷卸し以外はほぼ自動化されているとのこと。
今回の実証実験の結果を踏まえて、まずは同センターで複数バースへの自動化拡大、その後、他の自動倉庫への展開、自動倉庫以外での活用などを視野に入れる。
そのいっぽうで、実際の現場では荷積み・荷卸し作業を行なう専属リフトオペレーターがおらず、トラックドライバーにフォークリフトでの「サービス荷役」を求める現場も多い。
慣れない現場での作業は危険が多く、付帯業務によって長時間拘束され生産性が上がらないなどの問題も顕在化している。「自動運転によって仕事が奪われる」という意見もあるが、荷役作業の自動化はドライバーにも歓迎されそうだ。
危険が多いフォークリフト作業
トラックドライバーの事故というと交通事故を思い浮かべる人が多いが、交通事故の10倍以上発生しているのが荷役作業中の事故だ。中でもフォークリフト作業中の事故は命に関わる事態につながりかねない。
トラックマガジン「フルロード」第41号では、トラックドライバーに荷役作業中の事故の体験談を募集した。その中でもフォークリフトが関係する事故の話題は多く寄せられたので、最後に「痛い」経験をお伝えし、事故の防止を呼びかけるとともに、安全な自動荷役の実現に期待したい。
■ヒデさんの体験
私も現場にいましたが、同業他社の運転手さんがリフトに轢かれました。轢かれた当事者は自分の荷(巻取り紙)ではなく、知り合いが先に卸していたということで、知人のクルマの資材の片付けを手伝っていました。
その傍らでリフトマンが荷卸し作業をしていました。しかしリフトマンは荷卸し中のトラックの運転手の他に別の運転手がいることに気付かずに、バックしてくるリフトに踝を轢かれ、靭帯断裂で全治3ヶ月の怪我をしてしまいました。
■菊地さんの体験
倉庫で起きがちな事故といえば、フォークリフトです。慣れからくる油断は恐ろしいもので、荷物を抱えて前が見えないにも関わらず、床のラインを頼りに走行してしまう人がいます。
友人が働いていた荷役倉庫での話です。大きな荷物を抱えたら必ずバックで移動するというのが常識だと思いますが、あまりにも同じコースを走っていると見えないまま走行しても大丈夫だと錯覚してしまうんですね。
通路に仮置きされた荷物の品番などを確認していた他のリフトマンに激突。抱えていた荷物も、仮置きされていた荷物も4トンを超える大きな木材で、品番をチェックしていた人は荷物に挟まれ圧死してしまいました。
それから、もう取引を止めた倉庫で目撃した事故の話です。家の外壁材を数十枚重ね、長方体になった荷物にラッピングをして積み込むという仕事をしている時、後ろから断末魔を思わせる悲鳴が聞こえました。
振り向くと、他社のドライバーの右足の上にフォークリフトの後輪が乗っていました。つま先は普通に床についていましたから、足の甲と脛がくっついている状態です。悲鳴と一緒に「パキーン!」という骨折する音が倉庫に響きました。
荷物にラップを巻きながらバック歩きしていた運転手と、旋回しながらバックしてきたフォークリフトの衝突事故です。ふくらはぎにタイヤが乗り上げるなんて、聞いただけでも痛いものを思い切り見てしまいました。
あの時の運転手はちゃんと回復して、今も元気にトラックに乗っています。そのリフトマンは事故が多く、後日ホームからリフトごと落下する事故を起こし、奇跡的に怪我はしませんでしたが、解雇されたそうです。
■鰻さんの体験
荷役事故は、自分もあります。カゴ車仕事中のことです。冷蔵仕様のカゴ車をフォークリフトで移動している時、バック中の操作をミスして、自分の足をフォークと壁の間に挟んでしまいました。
安全靴を履いていましたが右足骨折で、完治に6ヶ月くらいかかった記憶があります。慣れていない現場で、慣れていないリーチリフトでの作業をしていたのが主な原因だと思っています。
冷蔵・冷凍仕様のカゴ車はけっこう重く、最悪の場合、倒れてきたカゴ車に挟まれて亡くなったという話も聞きます。このくらいで済んで良かったのかもしれません。
【画像ギャラリー】トラックドライバーの負担も大きいフォークリフト作業(6枚)画像ギャラリー
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