人気SUV、CX-5は“ディーゼル主力”に不安も
SUVがブームといわれるが、好調に売れている車種は限られる。海外市場向けが多く、販売が低調な車種も目立つ。
売れ筋はすべて乗用車のプラットフォームを使う前輪駆動をベースにしたシティ派だ。
全長が4400mm以下のコンパクトなC-HRとヴェゼルの人気が高く、これにミドルサイズのエクストレイル、フォレスター、XV、CX-5が続く。ミニバンと同様、コンパクトとミドルサイズが販売の中心だ。
コンパクトな車種は価格が250万円前後で購入しやすいが、ミドルサイズは280万円以上だから、好調に売り続けるには工夫が求められる。
それでもエクストレイルは、シティ派ながらSUV特有のタフに使えるイメージを際立たせて今後も堅調に売れる。
フォレスターは水平対向エンジンと4WDが、SUVのカテゴリーに合うから同様に堅調を保つ。ハリアーも独自の位置付けを確立させた。
しかし、CX-5はクリーンディーゼルターボのイメージが人気を牽引するが、これが下火になると難しい。
少なくとも2WDの「20Sプロアクティブ」は、価格据え置きで排気量を従来の2Lから2.5Lに拡大すべきだ。
現時点でもマツダ車は、ガソリンエンジンの500ccの排気量アップを価格に反映させていない。このほか2018年11月に追加される2.5Lのガソリンターボが成功するか否かも重要だ。そうしないと売れ行きが下がる。
価格についてはCX-3、レクサスのNXやRXはいずれも割高だ。これらの車種も今後の先行きが危ぶまれる。
売れ筋ミニバンながら販売低下傾向のステップワゴン
人気のカテゴリーとされるが、過去10年ほどの間に新鮮味が薄れ、車種数はかなり減った。特に背の低いスライドドアを装着しないワゴン風のミニバンは、ジェイドだけになって販売が低迷。それ以外はすべてスライドドアを備えた背の高い車種だ。
ミニバンの市場は縮小傾向だが、ボディが小さなフリードとシエンタは、車内の広いコンパクトカーとしても機能するから今後も堅調に売れる。
難しいのはそれ以上のサイズだ。セレナ/ヴォクシー3姉妹車/ステップワゴンは、いずれも商品の特徴が似ている。
ホンダは軽自動車のN-BOXとコンパクトミニバンのフリードに力が入り、ステップワゴンは売れ行きが下降傾向にある。今後はステップワゴンも、オデッセイのように販売が低迷する可能性がある。
Lサイズミニバンには、上級セダンに代わるニーズもあり、ファミリー指向の強いミドル/コンパクトサイズとは違う法人需要をねらえる。
「大人のミニバン」になり得るが、かつて好調に売れたエスティマは設計が古く、エルグランドは3列目と荷室が狭い。オデッセイを含めて販売が低迷する。
つまり、以前の人気車が現時点ですでに不人気車になっている。唯一アルファード&ヴェルファイアに需要が集まる今の状況は、今後も変わりそうにない。
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以上のように各クラスとも、現時点で人気に陰りが見え始めているモデルが多く、さらに増えると国内販売の屋台骨が揺らぐ。
日本のユーザーは車を見る目が肥えているので、入念な商品開発が求められる。
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