ワゴンR、ヴィッツら人気車が凋落の危機!? 5年後が心配なヒット車

ワゴンR、ヴィッツら人気車が凋落の危機!? 5年後が心配なヒット車

平成になってから30年、多くのヒット車が誕生してきた。今や押しも押されもせぬ人気車となったホンダ N-BOX、トヨタ プリウスなども平成生まれのヒット車だ。

こうした新しい人気車誕生の裏で、徐々に販売台数を減らした人気車も多い。マークIIやサニー、ブルーバードなど爆発的に売れた車の名前が消滅したのはもちろん、カローラでさえ今や最も売れているトヨタ車ではない。

現在、人気モデルが集まるのは軽、コンパクト、SUV、そしてミニバン。これらのカテゴリーでも、将来的に人気低下の懸念を抱えるヒット車は少なくない。

文:渡辺陽一郎
写真:編集部


軽の定番、ワゴンR&ムーヴも人気低下の懸念

ワゴンR(2017年-)/2018年7月販売台数:8446台。2代前のモデルは発売1年後の2009年7月に軽トップの1万8139台を販売。現行車は未だ人気車ながら台数は同門のスペーシアが上回る

軽自動車は、数年前と今では売れ筋のタイプが違っている。以前はワゴンRやムーヴなど、全高が1600~1700mmの車種が人気だった。

それが2010年頃からは、全高が1700mmを超えるN-BOX、スペーシア、タント、デイズルークスが販売ランキングの上位に入る。

実用的には、ワゴンRやムーヴでも車内は十分に広い。4名で乗車しても快適で、後席を畳めば広い荷室になる。N-BOXやスペーシアに比べると、全高は100mmほど低く、車両重量も100kg前後は軽いから、動力性能、安定性、燃費では有利だ。価格も10~15万円安い。

それなのに全高が1700mmを超える車種が好調に売れるのは、付加価値が多いからだ。背の高い外観には迫力が伴い、エアロパーツを備えたミニバン風の仕様も選べる。

車内は驚くほど広く、自転車も積みやすい。後席側のドアはスライド式で乗降性も良い。つまり実用性を徹底的に高め、なおかつ見栄も張れる。

特に実用性が小型車を上まわる「下克上」には、ちょっとした快感が伴うだろう。この傾向は今後も変わらず、ワゴンR、ムーヴ、N-WGN、デイズなどは、相対的に魅力が乏しく売れ行きも下げていく。

「強み」薄いヴィッツはアクアとの差別化も課題

ヴィッツ(2010年-)/2018年7月販売台数:1万1180台。この台数はアクアを上回り登録車No.2となるが、発売から8年が経過。次期型ではアクアとの棲み分けも販売維持の課題となりそう

最近は1~1.5Lエンジンを搭載するコンパクトカーの存在感が薄れた。先に挙げたN-BOXやスペーシアなど、背の高い軽自動車が人気を得ているからだ。

そうなるとボディがコンパクトで運転しやすく、燃費も優れ、価格は割安という従来の魅力だけでは売りにくい。ほかの車種とは違う特別なセールスポイントが必要になった。

販売ランキングの上位車種を見ると、ノートには独特の運転感覚を味わえるハイブリッドのe-POWERが用意される。しかも今の日産では売れ筋車種が激減したから、新車を求める需要がノートに集中している。

ノートがたくさん売れても、日産のメーカー別国内販売ランキングは5位にとどまり、要は売れる日産車が減ったこともノートが好調を保つ理由だ。この状況は今後も変わらない。

ルーミー&タンクは、走行性能は低くても車内が抜群に広く、販売網も充実して売れ行きを伸ばした。同じトヨタのアクアは、燃費性能がトップ水準で価格は求めやすく、法人やレンタカーにも積極的に売り込んでいる。

今後は、こういった強みを持たない車種が販売面で苦戦する。パッソは視界の良い小さなボディで運転がしやすく、4名で乗車しても窮屈ではない。価格は割安だが、積極的に買いたいと思わせる特徴が乏しく、今後は伸び悩む。

ヴィッツは現行型の発売が2010年だから、約8年を経過した。途中でハイブリッドを加えたが、パッソと同じく特徴が乏しい。フルモデルチェンジを行っても、ライバル車に対して明確な優位性を打ち出さないと売れ行きが低迷する。

ヴィッツは車の持ち味がアクアに似ているのも辛い。アクアはトヨタの全店が扱うから、ネッツトヨタ店の専売になるヴィッツは販売台数では太刀打ちしにくい。

フィットは燃料タンクを前席の下に搭載して、空間効率が高い。全高を立体駐車場が使える寸法に抑えたコンパクトカーの中では、車内が最も広い。居住性、積載性、取りまわし性、走行性能、燃費などをバランス良く向上させた。

しかも価格が割安だから、長年にわたり高い支持を得てきたが、最近は定番化して飽きられ始めている。フィットの今後も危うい。

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