被害者は誰か? どう償うのか? ゴーン逮捕劇が日本自動車界に与える影響


■日産は今後、何をすべきか?

問題は今後の展開だが、日産にとって最も重要なことは、この件に関する事態の進捗状況を誰でも閲覧できるホームページなどで毎日伝えていくことだろう。

企業が不祥事を起こした場合、イメージダウンを恐れて隠すことにより、ますますイメージを下げてしまう。だから新事実が分かったら、常に公表していくことが不可欠だ。

その内容はカルロス・ゴーン氏に関する事実関係から、同氏に対する損害賠償請求まで多岐にわたるが、消費者が抱く素朴な疑問にも可能な限り答える必要がある。

たとえば「1年間に数億円もの報酬を得ているのに、なぜ過小記載をしてまで、さらなる金額の上乗せを求めたのか。そんなにお金が欲しい理由はなにか」、「自分の欲望を満たすために、なぜ犯罪に手を染めたのか」等々。

事実関係だけでない、カルロス・ゴーン氏の意思にまで踏み込んだ報告と公表が求められる。

氏はそこまで気になる人物であるからだ。「ブランドを代表する」というのは、そういうことだ。

1999年に来日し、2000年に社長へ就任、2018年4月からは会長職に退いたものの、長く日産を率い、日産を代表してきたカルロス・ゴーン氏。特に近年は意欲的なアライアンス事業を推し進め、日産ルノー三菱連合は2018年上半期、グループ別世界販売台数で世界一となった。それだけに今回の事件の影響はすさまじく大きい

■お客さんにとっては大きなマイナス作用

クルマは価格の高い移動ツールだが、嗜好品的な性格も併せ持ち、情緒的なイメージで選ばれる傾向が強い。技術の信頼は揺るがず、価格が割安だったとしても、メーカーにダーティな印象が生じると選ぶ気分が萎えてしまう。

だからこそ、日産はユーザーの疑問や不安を完全に払拭させ、納得のできる公表をせねばならない。

この内容はクルマ選びにも影響を与える。ノートやセレナが、自分の使い方や予算にピッタリならこれを選ぶところだが、そこに少しでも迷いが生じた時にはアクアやヴォクシーに変更する……というようなことも起こり得る。

リコール隠しなどと違って商品に直接影響を与える事案ではないはずだが、先に述べた会社の体質として完成検査問題とセットでイメージされたり、「日産車を買う気分」が萎えることは充分にあり得る。

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