なるか復帰後初優勝 レッドブル・ホンダ元年への期待
その警戒心を煽るのが来季のレッドブルへのパワーユニット供給と言うわけだ。
今シーズンのレッドブルは、明らかに非力なルノーPUを駆使して4回もの優勝を果たし、メルセデスとフェラーリに次ぐ3番手を確保した。彼らが凄まじく実力のあるチームであることを否定する者はいないはずだ。
そのレッドブルが、今シーズン後半に一気にパフォーマンスを向上させてきたホンダを搭載するのだ。すでにホンダはルノーと肩を並べたとか、ルノーを抜いたとさえ言う者もいるほど。ワークス仕様での搭載ならカスタマー仕様のルノーPUを超えることは十分に考えられる。
すでにCTO(最高技術責任者)のエイドリアン・ニューウェイは、複数回さくらのホンダ研究所ヘと足を運んでいると言う。本気の体制が動き初めているのだ。もちろんライバルの驚異となるのは間違いないだろう。
ではトロロッソは?
今シーズン中盤、テクニカル・ディレクターのジェームス・キーがチーム離脱を発表も、契約上トロロッソを離れることができない状況にある。キーが移籍を決めたのは開発への不満からと言われている。
開発への不満とは、現在ハース(※フェラーリと関係が深い新興チーム)が使う“組み立てキット方式”、つまりトロロッソはモノコックとエアロを除く、全ての部品をレッドブルから供給を受け走らせることに対するもの。これにより、キー自身の開発への関わりが薄れることを嫌い、チーム離脱に至ったという。
キーの立場はわかるが、チームとしてはこのうえない環境が作れる。開発費を抑えながらも、レッドブル並の性能が手に入るのは、今シーズンのハースの走りを見ても明らかだ。
また、ホンダ的にもほぼ同一の車体4台でのデータ収集は、開発スピードを上げるまたとないチャンス。さらに開発はトロロッソでおこない、開発が完成したパワーユニットをレッドブルに搭載と割り切れば、実戦で常に開発テストができるのだから。
ホンダPUの性能がレッドブルとの成功を左右する
この状況に対してフェラーリは、ザウバーとハースを傘下に、ドライバーにもキミ・ライコネン(フェラーリからザウバーへ移籍)を送り込み、レッドブル軍団の脅威に対処。
また、メルセデスのトト・ウルフも暗にウィリアムスの“メルセデスBチーム化”を匂わせ、レッドブル・ホンダ軍団への警戒心を見せている。
もしも、このタッグに問題が起こるとすれば、(懸念は)“ホンダPUへの期待値”ではないだろうか。
引き続きトロロッソだけに供給するなら、現状は極めて良好だが、レッドブルはトップチーム。期待外れのパフォーマンスならば、その反発は必ずパワーユニットに向かってくることは、これまでのレッドブルを見ていれば明らか。
彼らもすでに5年連続でチャンピンシップから遠のいているのだから、もはや勝てない状況を維持するわけには行かず、勝てなければその矛先がホンダに向くことは十分以上に考えられることなのだ。果たしてその状況にならずに何処までゆけるのだろうか?
どちらにしても2019年、レッドブル・トロロッソ・ホンダ軍団が大きな台風の目になる可能性が高い……とは、ホンダファンの希望的観測なのだろうか?
◆ホンダF1 復帰後の流れ
ホンダは2015年にマクラーレンへパワーユニットを供給する形でF1復帰。以降、3シーズンをマクラーレンとともに戦った。2018年からトロロッソのみにパワーユニットを供給。初年度はコンストラクターズランキング9位(全10チーム)、最高位は決勝4位という結果で終えた。2019年より強豪レッドブルへパワーユニット供給を開始。トロロッソと合わせ、ホンダは2チーム・4台へパワーユニットを供給する。
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