死角はある? ジワリ迫るライバルの足音
一方、2代目は2017年にフルモデルチェンジしたが、初代の気になる点が改良されているものの、背がより高くなり、また乗り心地を改良するためサスペンション設定を柔らかくするなどして、操縦安定性に難が出た。
街角を曲がる際などにふらつくのである。完成度という点で進化したとは感じにくかった。それでも、2年連続で販売台数1位を獲った。
そこで対前年比の伸び率を見ると、N-BOXが10.7%であったのに対し、2位のスズキ スペーシアは45.2%と約1.5倍の伸びを見せている。
実際、現行のスペーシアはハイトワゴンとしての完成度が高く、乗り心地や操縦安定性が飛躍的に向上している。さらに、マイルドハイブリッドを全車に搭載することにより、環境性能と走りの上質さが他を上回っている。
ことに軽自動車の場合、アイドリングストップからの発進で、モーターで動き出せることは、まずエンジンを始動しなければ走り出せない他メーカーと比べ、別次元の乗り味をもたらす。
初代の価値を継承するN-BOXの人気は、必ずしも安泰ではないように見える。
日産車初の年間1位! ノートの転機は2年前
日産 ノートも現行車は2代目で、その発売は2012年からである。グローバルコンパクトカーとして世界に発表された。
しかし、当時の仕上がりは必ずしも満足のいく状態ではなかった。走行中に細かい振動が発生し、それが容易に収まらないのである。快適性が不十分で、販売も伸びなかったといえる。それが転換したのは、2016年の「e-POWER」の車種追加であった。
日産の電気自動車(EV)、リーフの駆動系を応用したシリーズハイブリッドのe-POWERは、それまでセレナに採用されたマイルドハイブリッドや、フーガやスカイラインなどに採用されたツインクラッチ式1モーターのハイブリッド以外で、小型車向け本格的システムとしては久しぶりのハイブリッドとなった。
トヨタやホンダにはハイブリッドがあるのに、長年量販車種にハイブリッドがなかった日産に、ようやく春が来たようなものだ。
そのうえEVと同様にモーターのみで駆動するため、EVと同じような運転感覚ももたらした。それが、「eペダル」だ。
アクセルペダルの操作だけで加減速はもちろん、停車まで操作できる機能である。当初は、停止直前にブレーキペダルを踏む必要があったが、セレナに採用されたときから停止まで可能となり、それが現行のノートにも適用された。
高齢者のペダル踏み替え事故が後を絶たない状況において、政府の後押しもありセーフティサポートカー(通称サポカー)の導入が進められ、カメラやセンサーを用いて衝突を防止する自動ブレーキの採用が進むが、eペダルであれば、ブレーキペダルへ踏み替える前に、回生による強い減速が得られる。それは、ペダル踏み替えの間の空走時間を減らすことにもつながる。これはモーター駆動でしか得られない機能だ。
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