迫力満点! V8エンジンを積んだハイラックスが存在する!?
かつて通称“パリ・ダカ”と呼ばれ、2000年代前半には三菱のパジェロが7連覇を果たしたダカールラリーといえば、砂漠を駆けるラリー・レイド競技の最高峰だが、今やパリでもダカールでもなく、南米を舞台に戦いが繰り広げられていることをご存じだろうか。
そんなダカールラリーの2019年大会でトヨタが総合優勝。あまり報じられていないが、これはトヨタ初の総合優勝というだけでなく、日本メーカーにとっては2007年の三菱以来、実に12年振りの総合優勝でもあるのだった。
そして、その優勝マシンが写真のハイラックス。延べ5000kmの道なき道をトップで走破した世界一タフなハイラックスの気になる中身とは!?
文:ベストカーWeb編集部
写真:Red Bull Content Pool、TOYOTA
V8エンジン搭載! 「ハイラックス ダカール」の中身
今回、トヨタが総合優勝を果たしたダカールラリーは、バラエティ豊かな車両が走っていることも特長のひとつ。車だけでなく、バイクも走る(二輪ではホンダが参戦中)。
車にも市販車部門と改造車(スーパープロダクション)部門があり、総合優勝を争うのは後者。そして、この改造車部門にエントリーされたのが、件のハイラックスというわけだ。
市販車のハイラックスといえば、日本でも2017年に“復活”。2.4L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載した仕様が販売されているが、ダカール仕様はなんとV型8気筒の4L自然吸気ガソリンエンジンをミドシップマウント。駆動方式は4WDを採用している。
「そりゃ当然4WDでしょ!」と思うかもしれないが、ダカールのトップを争う車は、必ずしも4WDというわけではない。昨年ダカールを制したプジョーの「3008 DKR」は、340psを発揮するV6ツインターボエンジンを搭載する2輪駆動車。重量面などで規定上有利な2輪駆動を利して、2016年から3連覇を達成している(昨年限りでワークスとしては撤退)。
そして、今年トヨタ最大のライバルとなったMINIは、2WDの「ジョン・クーパー・ワークス・バギー」と4WDの「ジョン・クーパー・ワークス・ラリー」の2種のマシンを投入。ともに直列6気筒ディーゼルターボエンジンを搭載している。
ディーゼルターボエンジン車や2輪駆動車のライバルがひしめくなか「4WD、自然吸気ガソリンエンジン」のハイラックスは、なかなか独自路線を歩んでいることがおわかりいただけるだろう。
その他、詳細についてトヨタからの回答は得られなかったが、今年のハイラックス ダカールはサスペンションを強化し、エンジンパワーも向上するなどのアップデートも施されている。
いつから参戦? トヨタとダカールラリーの関係は?
さて、ここまで紹介してきたハイラックス ダカールだが、実は参戦主体は「トヨタ ガズーレーシング サウスアフリカ(SA)」。つまり、南アフリカ現地法人が主体となっていて、トヨタがワークス参戦しているわけではない。
南アフリカトヨタが、ハイラックスを使ってダカールに参戦し始めたのは2012年のことで、10年目にして初めての総合優勝となった。
一方、ほとんど改造が認められない市販車部門でもトヨタ車体のランドクルーザー 200がクラス優勝を飾っており、ハイラックスと合わせてトヨタはダブルクラス優勝を達成している。
こと市販車部門では長年、強さを発揮してきたトヨタながら、ダカールラリーの長い歴史のなかで、総合優勝を果たしたのは今回が初めて。
せっかく優勝したのだから、トヨタがもう少し本腰を入れれば、往年の三菱 パジェロの如くトヨタがダカールラリーで黄金時代を築くのも不可能ではないはず。
ちなみに、日本市場復活で話題となった市販車のハイラックスにも、2018年11月にオフロードイメージを強めた「Z”Black Rally Edition”」が追加されている。
さらに、海外ではハイラックス「4X4 ダカール 6MT」なる市販モデルも発売中(日本にはない2.8Lディーゼル&6速MT搭載!)。日本でもダカールラリーをイメージした市販車があっても面白いかもしれない。
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