2025年5月20日、本田技研工業の三部敏宏社長は、青山一丁目の本社ビル(建て替え予定でこれが旧ビル最後のイベント)にて「2025ビジネスアップデート」と称した記者会見を実施。ホンダの今後についてプレゼンテーションを発表した。
文:ベストカーWeb編集部、写真:ベストカーWeb編集部、本田技研工業
【画像ギャラリー】ホンダビジネスアップデート全資料「やっぱHEVがんばります」という感じ(43枚)画像ギャラリー■2030年のBEVは「20%くらい(=72万台?)」に
近年ホンダが独自に実施する、三部社長自ら戦略ロードマップを語る「2025ビジネスアップデート」。今回中心となったのは、BEV(電気自動車)偏重からの脱却と、ハイブリッド車(HEV)と次世代ADAS(運転支援システム)による現実路線への舵切りといえる。
三部社長は会見冒頭、「自由な移動の喜びをサステナブルに提供し続ける」というビジョンを掲げつつ、EV市場の成長鈍化と政策変動の影響(カリフォルニア州を筆頭に、アメリカ11州は2035年までに新車販売の100%をZEVとする規制を掲げていたが、トランプ政権下でこの規制が撤回された)もあり、当初の販売目標(2030年時点でのEV比率30%)の達成が困難であると明言。
これに伴い、EVとHEVを合わせた“電動化”の中でも、より即効性と収益性のあるHEVの強化に戦略を切り替えることを発表した。
「2040年に新車販売の100%をカーボンニュートラル車に」という看板は掲げ続けるものの、その手前にある「2030年に新車販売の30%がBEV」を下方修正する。質疑応答で「では2030年でBEVは何%が目標なのか?」という質問が飛び、三部社長は「あくまで目安」と断りながら、「グローバル販売目標360万台のうち20%、72万台程度」という数字を口にした(あと5年でBEV年間販売70万台超は難しいんじゃないかな……)。
また、単なるEV・HEVの販売増にとどまらず、ホンダが新たに注力するのが「知能化」だ。具体的には、一般道から高速道路まで、目的地への全経路で操作支援を行う次世代ADASの開発・搭載を進め、2027年から北米・日本・中国での本格導入を予定している。市街地での複雑な交通状況に対応するために、同社が自動運転分野で培ってきた認識・行動計画技術が応用されるという。
この「次世代ADASの2027年~投入」が今回の「ビジネスアップデート」の目玉で、ホンダらしい「移動の喜び」を維持したまま、街中の一般道から高速道路まで、シームレスに高度な運転支援を継続する仕組みだという。上述のとおり、2027年頃に北米や日本で投入を予定しており、EV・ハイブリッド車の主力ラインアップに(小型車から大型車まで)幅広く適用していくとのこと。
これはだいぶ楽しみ。ホンダは「2050年までにホンダ車による交通事故死者ゼロ」を掲げており、高度運転支援システムはこの目標の柱となる仕組み。
■駆動ユニット別で見ると?
気になるハイブリッド戦略は、同社の2モーターハイブリッド「e:HEV」を中核に、駆動効率やエンジン性能を向上させた次世代パワートレインの開発を進める。これにより、燃費性能10%以上の向上と、従来モデル比で最大50%のコスト削減を目指すという。
特筆すべきは、北米向けにパワフルな大型HEVの開発も行っている点だ。2027年以降に13の次世代HEVモデルをグローバルに展開し、年間220万台の販売を見込む。これは四輪販売全体(360万台)の過半数を超える数字であり、改めて“ホンダの主力”にHEVが据え置かれる構図といえる。
EVに関しては「長期戦略として再設計された」と見るのが妥当だろう。新BEVブランドとして大々的に発表した「Honda 0シリーズ」の第一弾はこれまでの発表どおり2026年に投入予定で、ASIMO OSを核とした“超・個人最適化”のSDV(ソフトウェアデファインドビークル)を展開。これにはルネサスと共同開発中の高性能SoC(2000TOPS)も搭載予定で、次世代ADASの高度化に資する。
また、混流生産ラインによってEVとHEVの柔軟な切り替えを可能とする生産体制も整備。米国オハイオ州メアリズビル工場を軸に、既存アセットの有効活用と、各国政策の変化にも対応できるサプライチェーンの強靭化を進める。
経営面では、電動化に向けた投資総額を従来の10兆円から7兆円に圧縮し、その分をHEV開発や利益還元に再配分。2031年までに12兆円以上のキャッシュ創出を目指し、ROIC(投下資本利益率)10%の達成を掲げる。














































コメント
コメントの使い方もうエンジンは作らないと宣言しエンジニア放出しBEVへの方針転換を発表しましたよね。
F1引退宣言からの急遽延長もそうですが、前言撤回ばかり