イギリスの新興企業が中心となって開発中の燃料電池トラックがすごい!! 自動運転に加えて運転席のない遠隔操作モデルも開発中

自動運転は物流で真価を発揮する?

 自動運転、あるいは自律運転と呼ばれる技術は輸送・ロジスティクスセクターを革新する可能性を秘めており、特に強い影響を受けるのが長距離輸送をはじめとする大型車によるモノの輸送とされている。

 レーダー、ライダー(レーザー光によって物体を検出する技術)、カメラ、人工知能といったセンシング技術を車両に統合することで、人間による割り込みなしで、従来では不可能であった安全機能の開発が進んだ。

 生産財であるトラックはモノを動かすことで利益を生み出す道具だが、いっぽうで車両の稼働率はドライバーの労働時間(どこの国にも法規制がある)によっても制限される。ドライバーとシステムが協調して働くことで、稼働率の大幅な向上と物流の効率化が期待される。

 こうした先進システムを応用することで、トラックドライバー不足やドライバーの労働環境改善といった、世界的に課題となっている運送業界の諸問題に対する、次世代のソリューションとなるかもしれない。

 例えば遠隔運転によりトラックドライバーがオフィスで勤務することができると柔軟なシフトが可能になり、ワークライフバランスが大きく改善する。運送会社は車両の稼働率向上と最適化により利益率が向上するため、ロジスティクスがより効率的になり環境にもよい。

 加えて、自動運転システムは人間の限界を超えたレベルで加減速をコントロールできるため、モノの移動に必要なエネルギーの低減とタイヤ等からの排出の削減が可能になる。輸送ハブや中継拠点のスペース利用効率も向上するため、安全性と効率性はさらに高まる。

 とはいえ、自動運転による「輸送の自由」とTCO(総保有コスト)の低減のためには、対応する車両とともに新しいビジネスモデルも必要だ。こうしたプロジェクトに公的資金を投入する理由は、自動運転を前提としたビジネスモデルの登場を促す点にある。

 政府の予測によると、2035年までにイギリスで新たに販売される自動車の40%は自動運転機能を搭載するとされ、同国内のコネクテッド&自動運転モビリティの市場規模は417億ポンド(約6.6兆円)に達する。これにより同分野で4万人の雇用が新たに生み出されるそうだ。

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